情報拡散モデルを利用した
  超媒介者検出法

    小出明弘
研究背景
• ソーシャルネットワーク
  ユーザが容易につながることができる
  つながりをネットワークとして表現

• 情報拡散現象
  あるユーザを情報源としたときの情報の伝搬
  誰にどのように伝わるのか
  メカニズムの解明

  バイラルマーケテイング,デマ情報の抑制
影響最大化問題

• 情報拡散における問題
 出来るだけ多くのノードに
情報を伝達できるノード
 一定数ノードの組み合わせ

• 先行研究
 確率モデルを利用
 Kempe (2003), Kimura (2008)
超媒介者
• 情報拡散において両方を満たすノード
  多くのノードから情報を収集
  多くのノードに情報を拡散
影響最大化問題で重要となりうるノード(拡散に特化)
超媒介者になりうるノード(収集&拡散)
モチベーション
• 超媒介者の検出
  情報拡散における重要ノード

• 検出アプローチ
  基本的情報拡散モデルを利用
  期待影響度を利用した超媒介者検出

• 実験・評価
  超媒介者とそのほか指標との関係
    ネットワークの中心性,ランキング指標
数式の定義
フォローネットワーク 𝐺 = (𝑉, 𝐸)              𝑁:全ユーザ数
𝑉 = 𝑢, 𝑣, 𝑤, … , , 𝐸 ∈ 𝑉 × 𝑉

ノード𝑣が持つ子ノード集合
                               𝑣        𝑤
 𝐴(𝑣) =   𝑤 ∈ 𝑉; (𝑣, 𝑤) ∈ 𝐸

ノード𝑣が持つ親ノード集合
                               𝑣        𝑢
𝐵(𝑣) = 𝑢 ∈ 𝑉; (𝑢, 𝑣) ∈ 𝐸
情報拡散モデル
• IC(Independent Cascade) Model     (Goldenberg et al.,
  2001)etc.
   情報まき散らし型                                𝑝
   一定の確率で情報を伝達
                                            𝑝

• LT(Linear Threshold) Model (Watts, 2001)etc.
   情報受入れ型                                   𝑤
   各ノードに重みづけされている
   閾値を超えるとき情報が伝達                           𝑤′
期待影響度算出
• 各ノードの影響度𝜎 𝑣; 𝐺 の算出
  1st Simulate                                𝑴th Simulate
                   IC or LT model
                        ・・・
                                 𝑀
                            1
                   𝜎 𝑣; 𝐺 =           𝑥   𝑚
    𝑥1 = 4                  𝑀                     𝑥𝑀=6
                                𝑚=1

• 全ノードで計算し期待影響度𝐸(𝐺)算出
                 𝐸 𝐺 = 𝜎 𝑣; 𝐺 𝑝(𝑣)
                                               1
                                                  で一様
𝑝(𝑣)・・・ノード𝑣が情報源になる確率                          |𝑉|
超媒介者の検出
                                         𝐺
• 検出アプローチ
  あるノードを削除
  出,入リンクを削除                         𝑤

部分グラフ𝐺 ∖ {𝑤}を作成

• 超媒介者算出
 𝑬 𝑮 に対し期待影響度を最も下げるノード𝑤
      𝑤 = arg max 𝐸 𝐺 − 𝐸(𝐺 ∖ {𝑤})
             𝑤∈𝑉
          𝑤 = arg min 𝐸(𝐺 ∖ {𝑤})
                   𝑤∈𝑊
データセット
        現実の情報拡散ネットワーク
                                 Hyperlink
• Blogのトラックバックネットワーク
 トラックバック元から先へ有向リンク
 ノード数・・・12,407,リンク数・・・53,315

• Enron社のメール送受信ネットワーク
 送信者から受信者へ有向リンク
 ノード数・・・19,603,リンク数・・・210,950

 ※次数分布はべき則に従うネットワーク
実験設定
                                  1000 Simulates


• 各ノードの影響度𝜎 𝑣; 𝐺 の算出
 シミュレーション回数𝑀 = 1,000


 • ICモデル:拡散確率の設定・・・𝑝 𝑢,𝑤 = 𝑝 = 1 𝑑
 • LTモデル:リンク重みの設定・・・𝑤 𝑢,𝑤 = 1 |𝐵(𝑢)|

ICモデル        1        LTモデル   1
                 𝑑                |𝐵(𝑢)|

         1                𝑢   1
             𝑑                    |𝐵 𝑢 |
比較指標(1)
• 影響最大化問題における重要ノード
   超媒介者との比較
   𝐼 𝑣 = 𝜎(𝑣; 𝐺)でランキング
• PageRankアルゴリズム
                                      𝜋   𝑘 𝑇   𝑣 = 𝜋   𝑘−1 𝑇   𝑮
  Webページの重要度を測る
  prk 𝑣 = 𝜋     𝑘 𝑇 (𝑣)でランキング                  𝑮:Google行列

• HITSアルゴリズム
  hub (𝑘) 𝑣 =   𝑢∈𝐹(𝑣) authority
                                    𝑘−1   (𝑢) でランキング
  authority (𝑘) 𝑣 =   𝑢∈𝐵(𝑣) hub
                                    𝑘−1
                                          (𝑢) でランキング
比較指標(2)
• 次数中心性
                          dec 𝑣 = |𝐹(𝑣) ∩ 𝐵(𝑣)|
  次数が高いほど重要
• 近接中心性
  ネットワークの中心にあるノードは重要
         𝑑(𝑣, 𝑢)                                     −1
   →𝑣, 𝑢の最短パス長       clc 𝑣 =              𝑑(𝑣, 𝑢)
                                𝑢∈𝑉,𝑢≠𝑣
• 媒介中心性
  多くのノード間の橋渡しになるノードは重要
𝛾s,t :s, 𝑡の最短パス数                                 𝛾 𝑠,𝑡 (𝑣)
                      b𝑤c 𝑣 =
𝛾s,t (𝑣):𝑣を通るs, 𝑡の最短パス数           𝑠∈𝑉      𝑡∈𝑉      𝛾 𝑠,𝑡
超媒介者の期待影響度への影響
                 blogNW                 enronNW
              IC          LT          IC          LT
   𝑬(𝑮)       182.62           3.26    898.0           2.82
 𝑬(𝑮 ∖ {𝒘})   143.53           3.25   882.70           2.79

• BlogNW
   IC・・・𝑤の削除で期待影響度が78%に減少
 LT・・・ほとんど減少しない(削除前から期待影響度小)
• EnronNW
   IC・・・𝑤の削除で期待影響度が98%に微減
 LT・・・ほとんど減少しない(削除前から期待影響度小)
超媒介者と指標の関係(blogNW,IC)
各指標で1位のノードを除いた部分グラフでの期待影響度
Proposed    I(v)    dec      prk      hub      authority    clc       bwc
  143.53   178.55   179.74   178.18   183.75     179.74    177.54     181.25

     提案手法のノードが最も期待影響度を下げる

       提案手法上位ノードの各指標でのランキング
Proposed   I(v)     dec      prk      hub      authority   clc        bwc
      1       49      31       53     4,904      3,317           24         6
      2      118      40       51     4,960      3,209      419         45
      3      586     268      653     7,085      5,322      293         57

           次数,Pagerank,BWCと特に関係強い
分析結果(enronNW,IC)
各指標で1位のノードを除いた部分グラフでの期待影響度
Proposed   I(v)     dec       prk       hub       authority    clc       bwc
  882.70   895.56   889.36    885.74    891.65      889.36    885.85     888.64

    各指標の期待影響度とそれほど差が見られない

       提案手法上位ノードの各指標でのランキング
Proposed   I(v)     dec       prk       hub       authority   clc        bwc
      1     365           7         2     37           79           18         4
      2     230           3         1         9          5           6         3
      3     279           1         7         5          2           1         2

           ほとんどの指標と極めて関係強い
超媒介者として検出されたノード
• BlogNW・・・「愛国無罪」というタイトルのブログ
  収集期間が古く確認できず

• EnronNW・・・Jerey Skilling氏
 当時のEnron社のSenior Management
 エンロン事件前後でのメール送受信データ

※SkillingのSenior Management就任後,メール急増
  Skillingがメールの収集、拡散に関与していた可能性
Blogネットワークとコミュニティ
BlogNW可視化




• コミュニティ間を結ぶノードの削除
 期待影響度の減少に強い関係
Enronネットワークとコミュニティ
EnronNW可視化




• 単一の巨大コミュニティ内ノードの削除
 迂廻路の存在により,期待影響度微減
まとめ
• 超媒介者検出手法の提案
  情報拡散における別視点の重要ノード
  ネットワークと拡散モデルを用いて算出

• 超媒介者とネットワーク指標との関係
 既存影響度最大化問題,中心性など

• 超媒介者の有用性
 影響度を大きく減少させるノード検出
 ネットワーク構造に依存
今後の課題
• 大規模ネットワークでの実験
  Twitterのフォローネットワーク等

• 媒介者と各指標との関係の詳細分析
 幾つかの指標と媒介者には関係
 どの指標がどの程度の強さで効いているのか

• 集合問題への拡張
 影響最大化問題と同様,ノードペアの組み合わせ

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