電子出版アワード授与式＋パネル討論2020

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今年の電子出版トレンド
～技術動向から振り返る 2020
株式会社技術評論社
馮富久

2019年まとめと展望（技術的側面）
・紙を起点とした電子出版ビジネスおよび電子雑誌/書籍制作の安定化。
・上記に伴う電子書籍/雑誌の価値の維持と向上。
（仕様への対応およびアップデートの意識。作って終わりではない）
・ネット / デジタルキャッシュレス時代に合わせたビジネスモデルの構築。
そのために求められる経理処理/流通システムの整備。
2019年のまとめの振り返り
（昨年の発表の最後のスライド）

2020年は？

2019年同様、電子出版技術の観点では
大きなトピックは
あまりなかった。
（と個人的に思っています）

でも。

ということで、2020年は、
・例年通りの電子出版技術の話題
・新型コロナウィルスに起因する技術に関連する話題
でまとめてみました。

EPUBとEPUB周辺話題
EPUB

EPUB
・EPUB 3.2（Final Community Group Specification、変わらず）
→EPUB 3.3スタート（2020.09、2023.2月完成予定）
※欧州アクセシビリティ法の指令に伴い、3.3の動きも出てくる？
アクセシビリティを促進するための国際的な取り組みに弾みをつける、新しい欧州連合指針
https://www.wipo.int/wipo_magazine/ja/2020/02/article_0007.html
EPUB 3 Working Group A11y Telco — Minutes
https://www.w3.org/publishing/groups/epub-wg/Meetings/Minutes/2020-11-26-epub-a11y
・EPUBCHECK 4.2.4
（2020.6、 production-ready release）
・CSS SNAPSHOT 2020
https://www.w3.org/standards/history/css-2020
2019年はスキップ、12/22に公開。電子書籍制作では現状あまり関係ない？

EPUBリーダーや制作ツール
のアップデート
・Bibi、バージョン1、リリース
・Thorium Readerの展開
・MCComic Maker提供終了
EPUB

Bibi
https://bibi.epub.link/
（松島智氏開発）
電子出版アワード2020、
エキサイティング・ツール賞受賞、
おめでとうございます！
祝！エキサイティング・ツール賞受賞
EPUB関連
EPUB

EPUB関連
Thorium Reader
（EDRLab）
・Windows 10、macOS、Linux
で使えるPC向けEPUBリーダー
・OSSで開発
（BSD 3 Clause License）
EPUB

Adobe InDesign
アップデート
・EPUB へのコンテンツの
書き出しに関するアップ
デートはほぼ変化なし。
EPUB関連
EPUB

Kindle関連
・プリントレプリカ
2020年12月22日時点で「プリントレプリカ」で
検索すると1,764点
・MOBI→EPUBへ
タイプセッティングの改善により、
MOBIからEPUBへの推奨が促される。
（リフロー型で制作したデータ）
改善されたタイプセッティング
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G202087570
把握している限り、
昨年から
大きな変化はない？
EPUB関連
EPUB

デバイス関連
Surface Duo / Microsoft
（2020年12月現在、アメリカのみ販売）
楽天 Kobo Nia
エントリモデルの電子ブックリーダー
（6インチ、フロントライト搭載、E-Ink）
FOX BOOXシリーズ
（E-Inkデバイス）
写真はBOOX Max Lumi（13.3インチ）

その他（当社での1年）
※2019からブラッシュアップ
・サイマル、先行発売に向けて
制作フロー整備。
・紙版の増刷修正に関する
電子版対応強化。（開発・運用・保守体制の強化）
リモートワークによる制作体制の安定化
EPUB関連
Gihyo Digital Publishing

新型コロナウィルスに起因する
（電子書籍の）技術的な話題
※主観です
COVID19＋Digital Publishing

オンラインでの
書籍（電子書籍）の利用

課題：
・著作権処理
・コンテンツの表示環境
・提供側のスキル・知識のアップデート

著作権処理
改正著作権法35条の前倒し施行
当初、令和３年５月２４日までに施行されることになっていたが、新型コロナウイルス感染症
拡大により、施行が令和２年４月２８日に前倒しになり、さらに令和２年度に限り補償金を無
償にするという扱いがなされることになった。
出版社：紙の書籍と電子書籍で、出版社が扱うことになる権利が異なる点に注意。
サービス事業者：利用者の環境および利用規約に注意。
・場所以外の、時間的同期 / 非同期の差を意識する。
・映像以外のメディア（とくに音声）の扱いを意識する。

コンテンツの表示環境
オンライン授業に必要なもの
・インターネットインフラ
・ディスプレイ
・入出力端末（PC、タブレット、スマートフォン）
全生徒あるいは視聴者に対して、同じ情報を提供できるよう、提供側が意識する。
・インフラの差（早い/遅い）。
・使っているディスプレイサイズの差。
・インタラクティブな講義の場合の、入出力端末の差。

提供側のスキル・知識のアップデート
「学校の教室や会議室でできたから」「紙の書籍（教科書）でできたから」という考え方を
変え、提供側（出版社、サービス事業者、学校・教育機関など）の古い意識をなくす。
旧来の考えから、コロナ禍、つまり、
ウィズコロナ、アフターコロナに向けて
アップデートしましょう。

技術評論社の場合
・紙の書籍のオンライン授業の利用に関しては事前申請の上、許諾。
・電子書籍の利用に関しては原則NG。ただし、利用者分のギフトコードの購入と
利用者間との個別契約によって許諾。
他の事例
・旺文社
緊急事態宣言発令に伴うオンライン授業等への弊社刊行物利用について
https://www.obunsha.co.jp/news/detail/600
・大修館書店、大学向け電子教科書配信サービス
「eTextbooks.jp」を2021年4月より提供開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000046209.html

紙ありきの電子出版市場の拡大と成長，
雑誌読み放題，電子コミック，その次は？～2016年の電子出版
https://gihyo.jp/design/column/newyear/2016/ebook-business-prospect
・この記事では、制作面と販売面から考察をしています。
・2020年に入り、権利面、さらに、そのコンテンツの活用の仕方
を考えるフェーズに入ったと考えます。

2020年まとめと展望（技術的側面）
・新型コロナウィルスの影響で、社会のデジタル化・オンライン化が一気に進んだ2020年。
デジタル・オンラインに関しては恩恵を受ける部分が少なからずあった。
・一方で、旧来の壁を強く感じた1年。
手元の技術、目先の技術だけではなく、コンテンツを中心とした環境に関する技術への
意識がより重要に。
※デジタルやオンラインがない状態で作られた慣習や法律についてはアップデート。
・本来なら、5Gを軸にしたリッチコンテンツの話もしたかった（2021年にはぜひ）

Twitter ：@tomihisa
メール：tomihisa@gihyo.co.jp

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