<連載「五輪リスク」③聖火リレー>
47都道府県で人口が最も少なく、県内総生産も最小の鳥取県。平井伸治知事(59)が、首都東京の五輪の聖火リレーを「アメリカナイズされた大騒ぎ」と評している。
「私も米国暮らしの経験があるが、皆で踊って大騒ぎする文化だと思う。日本でも、大都会には派手なパレードはあると思う。でも、鳥取にはないです」
◆派手な車列に大音量の音楽 東京基準は非合理的
聖火リレーは、約30台の車列が約800メートル続く。ランナーを先導するのは、大会スポンサーとなった企業の大型宣伝車。大音量で曲を流し、車上のDJ(ディスクジョッキー)が興奮を盛り上げる。
新型コロナウイルスの感染拡大のさなか、有名人ランナー目当てに集まる人々に企業がグッズを配り、群集の「密」も生じた。
4月、本紙のインタビューに応じた平井知事の口調は穏やかだが辛口だった。東京・秋葉原で生まれ育ち「東京の感覚は分かる」とした上で、「全国のリレーを東京基準で作るというのは合理的ではないのではないか」「地域になじむやり方がある」「商業主義と五輪の理想の調和を保つべきだ」と説いた。
◆3500万円削減 「地味で良い」
財政が裕福でない鳥取県にとって、沿道警備や式典などリレーの費用9000万円の負担は重い。予算を少しでもコロナ対策に回し、沿道の密集を避けようと、見直しへ向けて組織委との交渉に入った。
リレーは5月21、22日。当初計画では県内の走行距離は31キロだったが、半分の16キロに短縮する。市町村ごとの走行区間を極端に短くすることで、長...
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