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京王線、ホームドアに合わせて設置の“すき間”削減が素晴らしい【Watch+】

4月から5月にかけて、鉄道各社が25年度の設備投資計画を公表しています。その中で各社とも安全対策を打ち出していますが、今回は京王電鉄の「ホームと車両の段差・隙間対策」を取り上げたいと思います。

はじめに、京王電鉄を取り上げる理由についてですが、単純に筆者が京王線沿線在住で、日頃の細かな変化に気付きやすいためです。国土交通省がバリアフリー整備ガイドラインを示しており、各社とも同様の取り組みを行なっています。京王電鉄だけが特別ということではなく、鉄道で進む安全対策の例として紹介したいという考えです。

近年、ホームドア設置駅が増えており、京王電鉄も調布駅付近連続立体交差事業にあわせて2012年に設置された調布駅など3駅をはじめ、京王線および井の頭線の各駅に順次設置されています。井の頭線は2020年代中頃、京王線は2030年代前半にホームドアの全駅整備が完了する計画です。

ただ、今回取り上げたいのはホームドアではなく、ホームドア整備と合わせて進められているホームと車両の段差・隙間対策です。これについても設備投資計画で触れられていて、「転落防止ゴムの整備」として写真でも紹介されています。

転落防止ゴム(出典:京王電鉄 鉄道事業設備投資計画のリリース)

駅でホームドアが設置されたことに気付いたとしても、段差・隙間対策も実施されていることは気付きづらいのではないでしょうか。それもそのはず、ホームドアが設置されると、この部分は電車の扉が開いているとき以外見えなくなりますから。

筆者が気付いた理由は、小さな子供がいるためベビーカーを押して乗車する機会が多いからです。そして、何が素晴らしいかというと、ただ隙間を小さくしているだけではなく、若干の傾斜があり、ベビーカーを持ち上げる高さが最小限で済むのです。

一般的にホームの高さより電車の乗車口の方が高くなっている、つまり段差が生じています。この段差を小さくしているのです。

バリアフリー整備ガイドラインでは車椅子利用者が単独で乗降しやすくするためと示されていて、ベビーカーのための対策ではないのですが、そのほかにもケガなどで足が不自由な方にとっても有用だと思いますし、一般の人でも躓く危険性を抑えられるでしょう。ホームドアの影に隠れてしまっていますが、本当にありがたい安全対策です。

井の頭線 駒場東大前駅にて4月21日に撮影。ホームドア設置中で、稼働前だった
ホームドアが稼働していないので、段差・隙間対策が施された足元を見ることができた。ホームドアがない部分から少し飛び出ているのが分かる
対策実施済みの笹塚駅。足元が外側に向かってスロープ状になっているのが分かるだろうか
加藤綾