NTTが光ファイバーの新しい波長帯域を開拓している。「X帯(波長が1675~1702nm)」と命名し、訴求を始めた。通常、光ファイバーではC帯(波長が1530~1565nm)やL帯(波長が1565~1625nm)が使用される。X帯はこれらよりも長い波長帯域だ。
NTTが帯域の拡張を続けるのは、光ファイバーの伝送容量を増大させるためである。すべてが光通信で完結する「APN(オールフォトニクス・ネットワーク)」という将来構想において、既存の光ファイバーと設備を活用し、大容量データをより遠くへ届けることを目指す。
光ネットワークで使われている光ファイバー伝送システムでは、異なる波長の光信号を多数束ねて、光のまま光増幅器(Erbium Doped Fiber Amplifier、EDFA)で中継し、長距離伝送している。従来の中継器は、C帯とL帯における約4THzの波長帯域を使用している。
しかし、これらの帯域では送受信機の改良のみによる大容量化は理論限界に近付きつつあり、さらなる大容量化のためには、新たな波長帯への帯域拡大が必要となっていた。なお、X帯はITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)で未定義の波長帯だ。