IAB Tech LabからARTF(Agentic RTB Framework)についての発表がありました。「AdCP(Ad Content Protocol)となにが違うの?どうなるの?」みたいなのが気になってる方は多いと思うので、軽くまとめてみました。
長いので三行まとめ
- ARTFはBit Requestに対してAI Agentで介在、AdCPは管理画面にAI Agentで介在させるための仕組み
- よってARTFでは主にSSP/RTB業者向き合い、AdCPでは広告代理店や広告主向き合いのプロダクトが産まれる
- 私見:AdCPのほうが成長の余地はずっとデカい。 ARTFはコストがかかりすぎで、既存プレイヤーがさらに強くなるだけになりそう。一方AdCPは各プラットフォーマーがOpenにしてくれるなら、いままで困難だった「プラットフォームまたぎでのあれやこれや」がAIを使ってできるようになる。
ARTFについて
ARTFはBit Requestに対してAI Agentで介在させるための仕組みです。
超ざっくりは下記のようなことができます。
- BidRequestに対していろんな情報を付与できるエージェントがたくさんいます
- オーケストレーター:「こんなビッドリクエスト来たけど、付与する情報を教えてくれ〜」とエージェントに一気に問い合わせ
- 各エージェントが付与すべき情報を返す
- オーケトレーテーター付与される情報をまとめてビッドリクエストを組み立て直し、オープンビッダーにわたす
付与する情報としては下記のようなものが想定されています。
- ユーザセグメント
- DealのOn/Off
- Fraud/viewabilty/などの各種シグナル情報
私見としては「ほんとにやるの?」です。ビッドリクエストに介在となると全ビッドリクエストに比するサーバが必要なわけで、得られるメリットとコストが合うか大いに疑問です。すでに設備を保持している業者がより強くなるだけな気もしたりですが、RTBの時もCriteoみたいなプレイヤーが生まれたわけなので、いつもの「一瞬だけ開いたドア」なのかもです。
AdCPについて
AdCP(Ad Content Protocol)はざっくり各広告システムをAIで操作できるようにするための共通フォーマットです。ノリをわかってもらうためにAdCPを介してAIができるようになることを抜粋します。
planning関係
メディアプランニングの基礎情報を得るためのもの
- get_products: 各プラットフォームで買える商品取得
- list_creative_format: 各商品で使えるクリエイティブフォーマットの仕様取得
- list_authorized_properties: 各メディアに対してどのプレイヤーが販売券を持っているかの情報(sellers.json的な立ち位置)
Campaing(media buy)関係
- get_media_buy_delivery: media buyの情報取得
- create_media_buy: media buyの作成
- update_media_buy: media buyの情報更新
Creative関係
- list_creatives: クリエイティブ取得
- sync_creatives: クリエイティブ作成
Signal系
DMP/CDPを介して適切なオーディエンスセグメントを検索、取得、各プラットフォームにセットする仕組み
- get_signals: 条件にあったオーディエンスセグメントを検索・取得
- activate_signal: get_signalsなどで見つけたセグメントをDSPなりにセットする
perforance系
- privide_performance_feedback: 各creative/media_buyの評価をこちらからプラットフォーム側に返す
雑感
ARTFは正直あんまりワクワク感がなかったです。AdCPも最初はmedia planing部分しかなかったので、「まだまだだな」というイメージでしたが、色々揃いつつあって面白くなってたなと感じました。
おわり