Duolingo の CEO が「AIファースト」の方針を打ち出し、AIで代替可能な業務委託を「段階的に廃止する」と宣言したことは日本でも伝えられたが、その後についての報道を日本のテックメディアで見ないので取り上げておく。
Fast Company の記事によると、件の宣言を受けて Duolingo の TikTok とInstagram アカウント(それぞれフォロワー670万人、410万人)にものすごい勢いで批判コメントが押し寄せたため、Duolingo はすべての投稿をいったん削除する羽目となった。
そして、しばしの沈黙の後、Duolingo は先週火曜にマスコットのマスクを被った男が画面に向かって主張する奇妙な投稿を行った。
Duolingo は過去にも公式キャラの死亡を宣言した後で復活させる一風変わった広報のやり方で話題となったが、今回の皮肉っぽい「ポストモダン」な反論には、やはりというべきか否定的なコメントが多数ついた。
これでは埒があかないと考えたか、Duolingo は続編となる木曜の投稿で、CEO を引っ張り出して釈明させている。
そして、動画だけでは収まらないと考えたか、CEO は LinkedIn に再度メッセージを出し、AI は我々の仕事のやり方を根本的に変えること、それがもたらす不確実性に自分たちが恐怖心ではなく好奇心で臨むこと、しかし、AI が従業員にとってかわることはない(実際、以前と同じペースで採用を続けている)と宣言している。
AI は人間の職を奪うか否かというのは今ホットな話題だけど……そりゃ奪うに決まってるじゃん。でも、これってティム・オライリーが懸念を表明していた、「AI ファースト」という言葉が、人間を AI に置き換え、シリコンバレーが人を失業させるチャンスとさえ考えている、と見られる問題そのものよね。
オライリーは続けて、「単にコスト削減や労働者の置き換えのために AI を利用する企業は、人間の能力を拡大するために AI を使用する企業に打ち負かされるだろう」と書いているが、そうあってほしいですな。