あの会社は、外事部門を増強するためのいけにえにされた――。 警視庁公安部による冤罪(えんざい)事件「大川原化工機事件」について、立件に突き進んだ背景をある捜査関係者がこう説明した。 経済安全保障の旗振り役として、現在福井県警本部長を務めるキャリア警察官もある役割を果たしていたという。 この冤罪捜査の責任を問う裁判の判決が、28日午後2時に言い渡される。 「ノンキャリ」の下で進んだ捜査 警視庁公安部外事1課。 海外への不正輸出を捜査するこの部署が、横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」を調べ始めたのは8年前にさかのぼる。 当時の外事1課長は、幹部候補向けの警察庁採用試験をくぐりぬけたキャリアではなく、警視庁で採用された「ノンキャリア」。続く2代の課長もノンキャリだった。
