2024年11月11日号
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PROLOGUE
モサド元機関員からの戒め
世界水準のハッカーの手にかかれば、日本企業のシステムなど簡単に侵入できてしまう。すご腕ハッカーとして鳴らした米ラッパーやイスラエルの元特務機関員が語る現実を直視せよ。

PART1
攻撃支援サービスも登場 産業化するハッキング 企業に身代金、主流に
カネと情報を持つ企業という存在は、今やサイバー攻撃者たちの格好の餌食だ。暗号化したデータをだしに“身代金”を要求するランサムウエアが猛威を振るう。侵入経路や攻撃マニュアル、交渉代理人までそろう闇の市場が拡大する。

PART2
経営者は「正常性バイアス」と闘え まずは脅威の直視から 対策費ケチれば後悔
コストを抑制したい企業経営者は、サイバーリスクを軽視しがちだ。現場からの進言を受け流したことで、サイバー攻撃を防げなかった企業は多い。SBI証券やメタップスペイメントの被害事例から教訓を学ぶ。

PART3
中国支援の攻撃集団にも対抗 動き出す能動的防御 日本企業にアメとムチ
先んじて相手の攻撃力を無力化する「能動的サイバー防御(ACD)」が動き出す。政府・自民党は2025年の関連法案成立を目指す。企業は防御の後ろ盾を得られる半面、インシデントを報告する義務が生じる。

校了乙
11月11日号特集「ハッカーは警告する」を担当記者が解説
11月11日号特集「ハッカーは警告する 巨大闇産業が日本企業を襲う」の読みどころを、担当した岡山幸誠記者が3分間で解説する。

聞く校了乙
11月11日号特集「ハッカーは警告する」を岡山記者に聞く
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。11月11日号特集「ハッカーは警告する 巨大闇産業が日本企業を襲う」の読みどころを、担当した岡山幸誠記者に聞きます。
PROLOGUE
第2特集
人
連載

グローバルインテリジェンス
映像・音楽・広告…AIが変える制作現場 創造的破壊に備える7つの心得
生成AI(人工知能)が映像・音楽・広告などの制作現場にディスラプション(創造的破壊)をもたらす。大きな変化に対応できるクリエーターたちは、AIと手を携えて新たな創造性の扉を開くだろう。

連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第4章 四面楚歌(12)
チャールズは、一人FSC本社の自室にいた。既に、ピーターもマークも社にはいない。大勢の記者を集め、次期台湾総統との強い連携を訴えたピーターは、再びヘリコプターで、いずこへと飛び去ってしまった。チャールズのみならず、多くの幹部は、陳新総統との連携内容やBSMCとの合弁会社などの状況説明を、ピーターが行うと考えていただけに、社内に失望と驚き、そして怒りが広がった。

BOOK
『国家はなぜ衰退するのか』~経済を成長させる社会制度とは
本書の著者たちは「国家間の繁栄の差は、社会制度の根強い違いが重要な原因になる」ことを明らかにし、ノーベル経済学賞を受賞した。本書は象徴的な書き出しから始まる。フェンスの北側(米国・アリゾナ州ノガレス)と南側(メキシコ・ソノラ州ノガレス)との貧富の差だ。2つの町は、環境も歴史も文化も同じだが、北側が米国の経済制度の下にあることで格差が生まれた。
世界鳥瞰

The Economist
中国・インド国境、緊張緩和に向け一歩前進 絡み合う経済・外交的思惑
国境係争地における2020年の軍事衝突以降冷え込んでいたインドと中国の間で、緊張緩和の動きが進んでいる。互いに妨害し合っていた危険地域でのパトロールを再開させる合意がなり、和解に向けた一歩を踏み出した。背景には、互いの市場や資金などを求める経済的思惑と、米国に対するそれぞれの外交的思惑の絡みがある。

FINANCIAL TIMES
若者の「うつ」、SNS利用と比例 約60%が1日2~4時間SNSを利用
英国の10代7000人を対象とした最近の調査で、10代の不安やうつの増加とSNS利用の相関関係が示された。現在16~18歳の約60%が1日2~4時間SNSを利用し、近年は同様の傾向が小学生にも見られるという。不安やうつの改善には、睡眠・運動量の他に「主体感(エージェンシー)」を高める必要があると専門家は指摘する。
時事深層

専門記者の眼(人的資本)
「スキルベース」時代へ、ジョブ型はもう古い 万能社員は不要、スキルを磨け
海外では働き方が「ジョブ型」から「スキルベース」に変わり始めている。ジョブよりもさらに細分化した「スキル」に応じて人を配置する。ジョブを定義するだけで精いっぱいの日本にスキルベースは現実的なのか。専門家は「海外のスキルベースの仕組みをうまく取り入れるべきだ」と話す。

GLOBAL
Amazon、AI物流の全貌 次世代ロボット倉庫の秘密
ついに、米アマゾン・ドット・コムの次世代物流施設が米国で動き出した。AI(人工知能)と多数のロボットを利用して在庫管理や配送を抜本的に見直す「第二の物流革命」だ。配送コストを従来の物流施設と比較して25%低減する。米ルイジアナ州の拠点を皮切りに、世界中の物流施設で次世代システムを採用する計画だ。

MANAGEMENT
LINEヤフーは70人超 増える社内弁護士、即戦力期待
企業の中で働く弁護士が増えている。LINEヤフーは70人以上の社内弁護士を擁し、従来の法務に加え政策渉外やM&A対応なども担う。法務機能を強化していくうえで、弁護士資格保有者が即戦力として求められている。

MOBILITY
禁輸のロシアでも大人気の日本の中古EV 規格化で電池資源を囲い込め
電気自動車(EV)の中古車を巡って、国内で流通市場を立ち上げる動きが出始めた。中古EVは国内での買い取り価格がガソリン車より低くなり、需要が根強い海外に大半が買われている。EVに搭載された大型電池は資源としての価値もあり、国外流出が問題視されている。

POLICY&RULES
衆院選で与党が大敗し過半数割れ 窮地の自公、国民民主と政策協議
第50回衆院選は10月27日投開票され、自民党、公明党の与党は公示前勢力(279議席)から大幅に議席を減らして過半数(233議席)を割り込んだ。野党第1党の立憲民主党は公示前の98議席から大幅に増やして148議席を獲得した。石破茂首相は野党の協力を得て政権を維持する考えを示したが、政権の新たな枠組みを巡って与野党の攻防が始まり、政局は流動化する情勢だ。国政が停滞すれば経済政策など政策全般への影響が懸念される。

COMPANY
「めちゃコミ」を1300億円で売却 帝人がもがく多角化経営の清算
帝人は電子コミック配信サービス「めちゃコミック」を手掛けるIT子会社インフォコムを売却する。内川社長の判断を後押ししたのは多角化経営への反省だ。事業の選択と集中を進めると同時に、組織にまん延する縦割り意識の払拭が待ったなしだ。

TRANSPORT
1棟で4時間超えも「別料金もらいたい」 タワマン地獄にはまる配達員
都市に林立するタワーマンションが宅配便などの配達員を苦しめている。1棟に多くの世帯が集まっているので一見、効率的に配達できそうだ。だが、現実は全く異なる。東京都内のあるタワマンでの調査では30件余りの集配に計255分もかかっていた。何が起きているのか。
EPILOGUE

ニュースを突く
「通信安保」まで頼り切り NTT法見直し決着も、残る課題
NTT法見直し議論の着地点が見えてきた。NTT法廃止は難しくなったものの、通信事業に関わる法制度全体で不断の改革が必要だ。

編集長の視点/取材の現場から
サイバー対策は成長投資
先日、経済同友会がサイバーセキュリティーについてのリポートを発表しました。経営者に求められる行動や政府への提言をまとめたもので、CISO(最高情報セキュリティー責任者)の設置など体制・計画づくりや取締役会での議論、人材育成などを企業の課題として挙げています。

賢人の警鐘
中神康議氏「中期経営計画は必要か。知的負荷が企業を鍛える」
中期経営計画策定への反対論が出始めている。中計策定には膨大な社内コストがかかる、その割に予測不能な環境変化が頻繁に起き未達に終わる場合も多い、そのたびに株式市場からの糾弾に追われる、といった指摘だ。