2025年2月10日号
誌面ビューアーで読むINDEX

PROLOGUE
セブンとフジテレビが見誤った影響力 投資額10兆円、市場も世論も動かす
短期の利益を狙ったマネーゲームのイメージは今や昔。近年のアクティビストは経営の本質を突く。東証の市場改革を受けて他の機関投資家が賛同するケースも増加。影響力は格段に高まっている。

PART1
データで予測 狙われる企業ランキング 標的企業に5つの傾向 トヨタ系・日産にも食指
過去20年分のデータからアクティビストの投資傾向を徹底分析。狙われる確率が高まる5要因を抽出し、上位企業をランキングした。持ち合い解消が進む自動車業界で株取得が加速する可能性がある。

COLUMN
開示資料から解き明かす運用実態 東証改革が生む「倍々ゲーム」の熱狂
日米の開示資料などから、ベールに包まれている日本でのアクティビスト活動を解き明かした。政府・東証が主導する市場改革を追い風に、各社の運用資産は軒並み急拡大していた。

PART2
8社に学ぶアクティビスト対応術 リクルートは株価2倍 向き合う姿勢で明暗
アクティビストが株主として対話を求めてきたら、どう向き合うのか。今回取り上げた8社の教訓は、まずは要求を真摯に受け止めること。無理難題を言うところばかりではない。相手をはぐらかすのは悪手だ。

PART3
友好的アクティビストという新潮流 社長候補に愛のムチ 伴走して株価を最大化
投資先との対話を深め、伴走する形でリターンを高める手法も広がる。友好的アクティビストの彼らは、社長候補の経営力を高める合宿も開催。企業にとって理想的に見えるが、長期目線の投資には課題も多い。

EPILOGUE
違反行為の横行を許す「5%ルール」 強制力なき法規制、企業にしわ寄せ
アクティビストの動きが活発化する中、ルールの運用の緩さを突いた違反行為が目立ち始めた。投資家保護の仕組みづくりが進んだ一方、投資の規律強化が追い付いていないとの声がある。

校了乙
2月10日号特集「アクティビストの論理」を担当記者が解説
2月10日号特集「アクティビストの論理 データで予測 狙われる40社」の読みどころを、担当した八巻高之記者が3分間で解説する。

聞く校了乙
2月10日号特集「アクティビストの論理」を八巻記者が解説
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。2月10日号特集「アクティビストの論理 データで予測 狙われる40社」の読みどころを、担当した八巻高之記者に聞きます。
PROLOGUE
第2特集

「ものづくりの黒子」から脱却へ 安川電機、何でも自動化 AIロボットで新市場開く
産業用ロボット大手の安川電機が大きな転換期を迎えている。中国市場では現地企業が台頭。景気減速も長引く中で、脱中国依存が急務だ。米エヌビディアと開発したAIロボットで新市場を開拓。米国での飛躍を目指す。

編集長インタビュー
安川電機・小川社長「AIで産業用ロボを超える」 米国で産業の先端つかむ
2023年12月、米エヌビディアとの協業で開発したAIロボット「MOTOMAN NEXT」を発売した。産業用にとどまらないロボットとして、医療、食品などの「未自動化領域」をターゲットに据える。半導体など先端産業が集積する米国を起点に新たな需要創出を狙う。
人
連載

グローバルインテリジェンス
AIが加速するマーケティング セレンディピティーも自動化される
今なお爆発的な進化を遂げる人工知能(AI)。欧米マーケティング学界の大物経営学者らが、マーケティングにどうAIを応用すべきか解説する。

連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第5章 諸行無常(10)
2024年4月20日 台湾・台北 ピーター・ワンとの面談は、グランドハイアット台北の鷲津の部屋で行うことになった。鷲津の方から出向くと申し出たのだが、固辞された。おそらくは、滞在場所を知られたくないのだろう。午後8時過ぎ、ワンは、体格の良い男と2人でやってきた。

日経ビジネス 新刊から
100人の異能集団が挑む悲願の沖縄パーク舞台裏
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再建で知られる森岡毅氏率いるマーケター集団「刀」。今年7月に沖縄北部にテーマパークを開業するほか、丸亀製麺やニップンの事業支援も手掛ける。森岡氏と約100人の異能集団が挑む「ジャングリア」。苦節14年の軌跡をたどる。(本文敬称略)

BOOK
武田砂鉄が読む~レッチリも手掛けた名物プロデューサーの「創作術」
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、アデル、ジェイ・Z、スレイヤーなど、ジャンルを限定せず様々なアーティストの作品を世に送り出してきた音楽プロデューサー。その創作術を明かす一冊だが、いわゆる技術面を並べるわけではない。むしろ、明かされるのは思索の積み重ねだ。
世界鳥瞰

The Economist
米WHO離脱、世界に悪影響 医療安全保障の脆弱化などが懸念
ドナルド・トランプ米大統領が就任直後に世界保健機関(WHO)からの離脱を指示する大統領令に署名した。離脱すれば、米国の保健衛生関連機関との協力が途絶え、米製薬会社は保健データの利用が制限される懸念も。さらに医療安全保障の脆弱化や将来の疾病大流行など、世界中に大きな影響を与える事態さえ予測される。

FINANCIAL TIMES
中国、訪中台湾人に身分証発行 総統は「タダは高くつく」と警告
最近、中国を訪れる台湾の人々に、中国の居住証や銀行口座を申請させる動きが目立つという。自国の身分証を持つ人々の保護を名目に軍事介入をする方策は、ロシアの先例がある。居住証だけでは中国国民と見なされないが、台湾当局は、中国に取り込まれる入り口になると懸念する。
時事深層

専門記者の眼(人的資本)
ロッテ・吉井監督、主体性のある組織のつくり方 「答え」を与えず、気付かせる
千葉ロッテマリーンズを率いる吉井理人監督は人材育成や組織づくりに精通する人物として知られる。そこでコーチングの第一人者を「キャッチャー」に、吉井監督流の組織論や人材育成について聞いた。

GLOBAL
ダイキン・マネーフォワードも新拠点 インド進出、チェンナイに熱視線
世界一の人口を抱え、近年は年率7%以上の成長を続けるインド。進出先としての期待が高まる一方で、参入障壁の高さから尻込みをする企業も多い。そんなインドにあって、じわじわと外国企業や投資家の関心を集めているのが南部を代表する港湾都市のチェンナイだ。住友商事が地元財閥と合弁で展開する工業団地は拡張を決定。マネーフォワードも開発拠点を立ち上げる。

MANAGEMENT
再燃、社内起業ブーム 脱JTC目指して「青い鳥」探し
伝統的な日本企業で、社内起業制度の導入が相次いでいる。新規事業の開拓や人材の引き留めなどが背景にある一方、期待した成果が生まれないまま、形骸化してしまう例も多い。制度定着に向け、経営層を巻き込んで試行錯誤する老舗リース会社の取り組みに迫る。

TECH
NECと富士通、本格導入狙う AIで沸く「仮想データセンター」
分散する複数のデータセンター(DC)を光通信で接続・連携させ、あたかも1つの巨大なDCのように運用するための動きが本格化してきた。人工知能(AI)の需要増加に伴い、過密化するDCの分散は急務だ。

POLICY&RULES
産業界の賃上げ継続をにらむ 日銀、利上げ30年ぶり領域へ
日本銀行は24日開いた金融政策決定会合で、約半年ぶりの追加利上げを決めた。国内で高水準の賃上げを見込めるなどとの判断に基づき、政策金利の誘導目標を0.25%から0.5%に見直す。「トランプリスク」と向き合う中、植田和男総裁は今後の日本経済についてどんな展望を語ったのか。

HEALTHCARE
「ゼップバウンド」と「ウゴービ」 肥満症治療薬、日本でも激突
米イーライリリー・アンド・カンパニーが開発した肥満症治療薬「ゼップバウンド」が2024年12月に厚生労働省の承認を取得した。単なるやせ薬ではなく、肥満に伴う健康障害を改善するというのがポイントだ。デンマーク・ノボノルディスクの「ウゴービ」は24年2月に承認取得済みで、日本でも肥満症薬の2強が出そろう。

COMPANY
牧野フライスに予告なき買収提案 ニデックが問うM&Aの「常識」
「TAKISAWAに続いて成功させて、この手法が日本で根付くことを期待している」。昨年末、工作機械大手、牧野フライス製作所へ突如、「同意なきTOB(株式公開買い付け)」提案を仕掛けたニデックが23日夕方、東京都内で開いた記者会見。同社のTOB戦略を担当する荒木隆光専務執行役員企業戦略室統括はよどみもなくこう言い切った。
EPILOGUE

ニュースを突く
トランプ氏が招く脱炭素後退 関税強化で経済自体にもダメージ
トランプ米新政権によって世界の脱炭素化が後退しそうだ。関税強化による経済的な打撃も脱炭素化にブレーキをかける恐れがある。

編集長の視点/取材の現場から
「正論言う株主」との向き合い方
日本での動きが活発になっているアクティビスト(物言う株主)。以前のように増配や自社株買いを要求するのではなく、事業の取捨選択や資本効率改善といった中長期的な価値向上へとアプローチも変化しています。

賢人の警鐘
ビル・エモット氏「米国の日本いじめは経験済み。東南アジアに投資分配も選択肢」
米国からのいじめに慣れていることは大きな利点だ。ドナルド・トランプ米大統領の帝国主義的で威嚇的なスタイルに直面して、欧州の人々は神経質になっているが、日本の政府高官や企業は、1980年代にキャリアをスタートさせたような年齢の人であれば、すべて経験済みである。