2025年6月23日号
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PROLOGUE
経営者の判断を妨げる3要因
人間は必ずしも経済合理性に基づき、意思決定をするわけではないし、一貫してもいない──。こうした観点から行動経済学や心理学の分野で、人間の意思決定プロセスに関する研究が重ねられてきた。

PART1
味の素・サイボウズ、住友商事… 緊急時計画やAI 英断導く独自ルール
様々な状況で難しい判断が求められる意思決定。よりどころやルールがあれば、よりよい判断の後押しをしてくれる。いざというときの決断のために各社はどんな仕組みを用意しているのか。

COLUMN
壁打ち相手は「AI社長」にお任せ キーエンスの会議は準備に1年
「ある企業との提携を考えているが、社長にプレゼンで何を伝えたらいいか」。社内で使うチャットアプリにこう打ち込むと、程なく回答が返ってくる。「お互いのウィンウィンの関係性を具体的に示すことだ」

PART2
三陽商会、さくらネット社長の頭の中 構造改革は情緒排し 投資は長期視点で
傷口を広げることなくスピーディーで着実な実行が求められる構造改革。成長を目指す以上、予測できぬ未来に向けても決断が必要となる巨額投資。三陽商会とさくらインターネット。経営者の意思決定時の頭の中を見ていこう。

INTERVIEW
一橋大学・楠木建氏に聞く「意思決定」の要諦 優れた経営は局所で非合理だ
ここまで意思決定を巡る企業や経営者の事例を紹介してきた。最後に企業経営と意思決定について、経営学者の楠木建氏に聞いた。

校了乙
6月23日号特集「意思決定の技法」を担当記者が解説
6月23日号特集「意思決定の技法」の読みどころを、担当した梅国典記者が3分間で解説する。

聞く校了乙
6月23日号特集「意思決定の技法」を梅国典記者に聞く
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。6月23日号特集「意思決定の技法」の読みどころを、担当した梅国典記者に聞きます。
PROLOGUE
AIリーダーズ100 特別編集版
第2特集
人

経営者リレー対談
富士通 時田社長 VS レゾナック髙橋社長「苦悩と覚悟を胸に抜本改革に挑め」
レゾナック・ホールディングスの髙橋秀仁社長が指名したのは、富士通の時田隆仁社長。中学・高校の同級生だった2人が、大胆な構造変革をリードする経営者として向き合う。レゾナックも富士通も巨大な組織だ。変革は一筋縄でいくはずもない。時に厳しい決断を迫られるトップは何を思い、何に耐え、どうやって難路を歩んでいるのか。同窓だからこそ語り合えることがある。闘う経営者の胸の内を明かしてもらった。

経営教室
学研・宮原社長の経営教室「現場を見よ、情報不足は命取りに」
経営のかじ取りを14年半も続ける学研ホールディングスの宮原博昭社長。長期にわたって求心力を維持するには、情報収集や失敗の検証などが欠かせない。学研がV字回復する土台となり、防衛大での学びも生かしたその方法論とは。
連載

連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第7章 盛者必衰(3)
若手を残し、鷲津はリンとサムと共に、自室に引き揚げた。「モルトでいいか」鷲津が問うと、二人が頷いた。鷲津はロックグラスに氷を手づかみで入れて、ラガブーリンの16年を、なみなみと注いだ。「さっきは、威勢の良い話をぶちかましていたけど、アメリカは、史上最も厄介な事態になっている。本当に大丈夫?」

連載小説「二宮損得」
親と家を失って3年で土地を買い戻した二宮金次郎に小田原藩高官が注目
金次郎がはじめて生家の土地を買い戻したのは、文化3年(1806)3月。母親が死んで弟たちと別れ、たったひとり伯父の二宮万兵衛方へ引き取られてから3年後である。逆にいえば金次郎は、わずか3年でそれだけの銭(ぜに)を貯めた。

BOOK
グーグル、アップル……巨大テックが君臨する『テクノ封建制』と日本の危機
これからは超富裕層にさらに富が集中し、格差が拡大、固定化。封建制に逆戻りしたような社会がやってくる──担当する大学の授業でそんな話をするのだが、危機感は伝わらない。「資本主義の終わりを想像するよりも世界の終わりを想像するほうが簡単だ」。本書にも引用された名言そのままに「はぁ? 封建制なんてありえないでしょ」と思っているらしい。
時事深層

専門記者の眼(国際関係・安全保障)
対日強硬路線は繰り返されるのか 韓国新大統領、実用外交の実相
「日本は世界に宣戦布告した――」。6月3日に実施された選挙を制し、韓国大統領に就任した共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)氏は、日本が東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を開始した際、激しい言葉でこれを罵った。同氏は処理水を「核汚染水」と呼んだ。

プロの洞察(ラグジュアリービジネス)
スイス高級時計、ロレックス 60年代に戦略転換、今の地位に
スイス生まれの気鋭の学者がラグジュアリー産業を徹底解明。ロレックスは約60年前から世界最大の時計ブランドの地位を守るが、創業時から「ステータスシンボル」であったわけではない。先行するブランドに追い付くため、まず力を入れたのは技術だった。

COMPANY
豊田織機の非公開化、トヨタは議決権なし 問われる「創業家支援」の是非
トヨタ自動車と同社会長の豊田章男氏などが共同で、グループ源流の豊田自動織機を非公開化するスキーム(枠組み)が明らかになった。買収を目的とする会社にトヨタは議決権なしで約7000億円を出資し、議決権は豊田氏が会長であるトヨタ不動産と豊田氏が持つ形とした。トヨタは自らの判断でトヨタ創業家の影響力向上を促したとの声が出る。長期視点での経営を目指す一方、トヨタの株主からはその経緯や判断の是非が問われることになる。

WORK&CAREERS
生損保各社で制度運用の見直し進む 出向は成長機会か島流しか
旧ビッグモーター問題では出向のリスクが露呈した。出向のモラルハザードを引き起こす可能性が問題視されている。生命保険・損害保険業界で出向の見直しが進む。

トランプ関税ショック
USスチール買収を狙う日本製鉄だけではない 韓国も狙うトランプ関税の「内側」
日本製鉄によるUSスチールの買収交渉や、米トランプ政権の高関税政策で注目される米国の鉄鋼市場。関税障壁の内側でビジネスを展開する「インサイダー」の立ち位置を狙うのは日鉄だけではない。韓国の現代製鉄や欧州アルセロール・ミタル、そしてJFEホールディングスなども米国での動きを活発化させている。

FINANCE&INVESTMENT
大丸松坂屋、作品売上高2割増 アート投資で富裕層囲い込み
日本のアート市場が成長トレンドに乗り始めた。けん引するのは、投資と社会貢献の両面から現代アート購入を志向する40代以下の若年層だ。松坂屋名古屋店は国内百貨店として初めてアート専用フロアを開設。三井住友フィナンシャルグループもアート事業を展開するなど企業活動が活発化する。

MARKETING
製造はチーム制にして品質を競う 「獺祭」社名にグローバル強化
旭酒造(山口県岩国市)は2025年6月、社名を商品のブランドと同じ「獺祭」に変更。グローバル化に向け国内の製造を4チームに分け、製品力を強化。世界的なイベントなどに商品を供給し知名度向上を図る。
EPILOGUE

ニュースを突く
ドコモとKDDIが携帯値上げ 今こそMVNOの出番だ
携帯大手による値上げが相次いでいる。不満がある利用者はMVNOの格安プランを選べばよい。それが健全な競争につながる。

編集長の視点/取材の現場から
経営者はなぜ間違うのか
なぜ自分は判断を間違うのか──。みなさんは深く考えたことがあるでしょうか。経営者の反省が難しい理由の一つは、成否がすぐに表れないことにあります。間違いが明らかになった時点では、経営陣も事業環境も変わっており、決断そのものの妥当性を問うことが難しい。現場がその通りに動かなかったという場合もあるでしょう。言い訳はいくらでもできます。

賢人の警鐘
イアン・ブレマー氏「ウクライナのドローン攻撃で『長期戦はロシアの味方』揺らぐ」
ウクライナ軍は6月1日、国境を越えて、ロシア国内の多くの基地をドローンで攻撃した。ウクライナは戦略爆撃機などを含む「数十機を破壊した」と発表しているが、衛星写真で確認できるのは15~20機のようだ。それでも、前例のないウクライナの軍事的成功であり、現代戦においても際だった非対称攻撃(両軍の軍事力が大幅に異なるケース)の1つといえるだろう。