2025年8月25日号
誌面ビューアーで読むINDEX

PART 1
米ラストベルトの教訓、日本に生かせ 工場消え、雇用3割減 製造業回帰へ瀬戸際
米国のラストベルトが直面する製造業の衰退は、対岸の火事ではない。経済安全保障の強化や円安は、日本に製造業が回帰するチャンスに。新規に供給できる産業用地が不足する中、工場跡地の再活用が鍵を握る。

PART 2
日産・追浜工場、生産終了へ 甦る村山工場の悪夢 活気戻らず四半世紀
生産終了が決まった日産・追浜工場の周辺住民は跡地活用に気をもむ。21年前に閉鎖された村山工場は再活用が進まず、地域の活気を奪った。閉鎖工場を効率的に再活用できるかが、日本経済の浮沈を左右する。

PART 3
JFE製鉄所、出光製油所も衣替え 列島に新産業の胎動 跡地再活用に5原則
工場跡地の活用は企業や自治体、住民など関係者の利害が絡み合う。この連立方程式を解き、いかに新産業を生み出す受け皿とするか。動き出した跡地活用の事例から、成功を引き寄せる心得を探った。

PART 4
北九州、60年ぶり社会人口増 10年間で600社誘致 脱・鉄依存に希望の光
工場の再活用が動き始めたが、自治体単位での再生となると足取りは重い。ラストベルト化を避けようと奮闘が続く中、注目を集めるのが北九州市だ。熱心な企業誘致が結実し、60年ぶりに転入者が転出者を上回った。

編集長インタビュー
武内和久・北九州市長、60年ぶり社会人口増 「投資呼び、負けぐせ覆す」
霞が関官僚、外資系コンサルティング会社を経て初当選。トップセールスで企業を誘致し雇用をつくる。「寂れゆく工業都市」とのイメージを打ち破り、北九州市の社会人口を60年ぶりのプラスに押し上げた。外から評価されれば、「自分たちはできる」と市民に未来志向が芽生えると説く。
![[特集解説]日産・村山工場跡地は宗教施設に?JFE・出光に学ぶ工場転生](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00419/082500202/s800.jpg?__scale=w:240,h:180&_sh=0d70e006e0)
校了乙
[特集解説]日産・村山工場跡地は宗教施設に?JFE・出光に学ぶ工場転生
8月25日号特集「日本版 ラストベルト再生」の読みどころを、担当した梅国典記者が解説する。
PROLOGUE
第2特集
連載

グローバルインテリジェンス
AIの普及は均質化の源泉に 革新は人の生む「異質性」にあり
人工知能(AI)の普及によって今日のビジネス環境は大きく変化し、「競争力の源泉に」と考える企業が増えている。だがAIはむしろ、技術やアイデアの均質化をもたらす。持続的な競争優位は人間が生み出す「異質性」にこそある。

from 日経Gooday
太っていても歩くのが速い人は糖尿病のリスクが低い
太っていても歩くのが速い人は、高血圧や糖尿病、脂質異常症のリスクが低いことが、日本人を対象とした研究で明らかになりました。

連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第7章 盛者必衰(13)
三者会談は、冒頭から荒れた。ピーターが、マークの危機感のなさを詰った上、アメリカ女性との密会写真を見せた。誇り高き男であるマークの顔が、みるみる真っ赤になり、目が飛び出るのではないかと思うほど興奮して怒りを爆発させた。

連載小説「二宮損得」
長引く経費節減に漂う「節約疲れ」 二宮金次郎も苦労した家計再建の難しさ
初年度はまずまず、二年目、三年目は効果が縮小。二宮金次郎は小田原藩家老宅の家計再建に取り組んだが、その効果は年々小さくなった。倹約は本質的に陰気。人間は元来、いつまでも倹約は続けられない。いわゆる「節約疲れ」で家中の空気も変わってしまう。

日経ビジネス 新刊から
日清食品・安藤社長「カップヌードルを爆発させたテレビCM」の真意
日清食品を率いる若き経営者・安藤徳隆氏の実像に迫る書籍からの連載第2回。自身の原点となったカップライス事業の再構築で、ユニークであることの重要性を痛感した。父であるCEOが眉をひそめるほどのCMで新ブランドを強固なものにした。
時事深層

専門記者の眼(国際関係・安全保障)
米国の戦略は「日本解体」だった 米国観を見直し、従属から対等に
一連の戦争において、日本が中国をはじめとする国々を侵略したのは事実です。しかし、そこに至る過程を見れば、この侵略は、中国や米国の戦略にはまり込んだ結果でもあります。中国が戦略的に起こす行動に、軍事が行き当たりばったりで対処していたら「侵略」という形になっていた――。

専門記者の眼(法務)
就活面接の音声投稿サイトが炎上 無断録音に法的問題は「なし」
第三者の就活面接やOB・OG訪問の音声を学生が聞き、就活に役立てるサービス「ボイスキャリア」が物議を醸している。「OB訪問に応じたらネット上にその音声がアップされるなんて……」と拒否反応を示す企業は多い。ただ運営会社や学生の法的責任を追及するには高いハードルがありそうだ。法的側面から騒動を追った。

GLOBAL
札束ゲーム化する獲得合戦 AI研究者に契約金1億ドル
米国のAI(人工知能)エンジニア獲得合戦が異常事態に突入している。スターエンジニアやトップ研究者の獲得に契約一時金1億ドル(約150億円)をオファーしているとの噂も飛び交う。常識を超えた「札束ゲーム」への暴走は、健全な市場をゆがめる弊害も生み出している。

HUMAN CAPITAL
合宿や研修の効果を可視化 「アート合宿」で疲労感、3割減
美術の聖地・瀬戸内の島で、寝転がって話し込む人々。パナソニックエナジーの社員たちだ。プログラムの黒子は、オフィス家具大手のイトーキ。美術鑑賞や対話の時間が、意欲にどう作用するかを可視化した。

MANUFACTURING
生成AIで新たな半導体装置需要 キヤノンvsニコン、露光競争再び
生成AI(人工知能)ブームが新しい半導体製造装置市場を生み出そうとしている。微細化による高機能化が限界に近づき、複数の半導体を組み合わせて一体の大型チップのように動かすことで高機能化する先端パッケージが重要になった。そこで先端パッケージの回路形成に使う露光装置という新市場が急速に拡大している。かつて前工程の露光装置で有力企業だったキヤノンは、新技術の台頭などで市場から離脱したが、代わって後工程の露光装置でトップ企業となった。だが、そこに別の方式の露光装置でニコンやウシオ電機などが迫る。新しい市場で激しい技術競争が始まった。

ENERGY
2030年代早期に「国内トップランナー」と宣言 関電が蓄電所目標、原発1基分
「蓄電所で国内トップランナーを目指す」。関西電力は今春、こう宣言した。2030年代早期に原発1基分の出力に相当する100万キロワットを目指す。日本では蓄電池の事業者は乱立気味だが、この高い目標を関電が実現すれば業界の優勝劣敗が一気に進む可能性がある。関電の強みと狙いを探った。

TRANSPORT
現行新幹線計画、約200年後にやっと完成 急浮上「中速新幹線」の現実味
新たな新幹線の建設ではなく、既存の在来線を活用する「中速新幹線」が注目を集めている。日本ではほとんど存在しないが、海外では一般的で、最高時速は新幹線より遅く在来線より速い。1970年代に国が定めた全国で将来整備すべき新幹線の基本計画路線の全開通は早くても2250年と指摘されるなか、中速新幹線は現実解の一つになるかもしれない。
EPILOGUE

編集長の視点/取材の現場から
経営が生んだ「北九州の復活」
今回の特集には2種類の経営が絡んでいます。まず企業。技術革新や市場環境の変化に応じ、生産拠点をどうアップデートし、保有資産の価値を最大化するか。そしてもう一つの舞台が地方です。企業の動きに歩調を合わせて国内外から投資を呼び込み、雇用を創出し、人口流出を食い止める。こちらは出生数が下げ止まらないなか、実現は一筋縄ではいきません。

賢人の警鐘
川本裕子氏「人材確保で民間企業と競争。『公務のブランディング』が鍵に」
国の行政は、刻々と変化する内外の情勢や不確実性が高まる環境に適切に対応して国民生活を守り、国民に奉仕することを使命とする。一にも二にも大事なのがそれを担う「人」である。広い視野と高い志、優れた専門能力を備えた人材を、競争的な市場でどう獲得していくのか。そうした課題に挑み続けている。