2025年9月29日号
誌面ビューアーで読むINDEX

PROLOGUE
ソニーは「市場に育てられた」
アクティビストと企業はどう向き合うべきか。ソニーグループは要求を否定し、越えてみせた。3月に最高経営責任者(CEO)を退いた吉田憲一郎会長は市場との対話を成長の糧にした。

チャート解説
アクティビスト・買収提案はこう来る
持ち合い解消などで安定株主が減ったこともあり、上場企業はアクティビストの要求や同意なき買収の提案がいつ来てもおかしくなくなった。実際に企業には提案がどう持ち込まれるのか。チャート形式で図解する。

PART1
任天堂創業家YFOの介入、触媒に 外圧が変えた東洋建設 対話が生んだ業界再編
大成建設は約1600億円をかけて海洋土木(マリコン)大手の東洋建設を買収する。東洋建設が筆頭株主、任天堂創業家の資産運用会社の買収提案を拒否し1年半。陸と海の垣根を越えた業界再編にいかに結びついたのか。その内幕を追う。

PART2
日本型ポイズンピルの変遷 万能ではない「防衛策」 時間稼ぎのツールに
アクティビストに株式を持たれた際に日本企業は買収防衛策に頼ってきた。企業統治の観点から一時は下火だったが、アクティビストが増え、有事型に移行した。ただ、同意なき買収では「時間稼ぎ」にしかならず、専門家も「防衛は難しい」と見る。

PART3
持ち合い解消で生じる「真空状態」埋める 10%中期保有のファンド 新潮流の「安定株主」に
近年進む政策保有株の解消では一定量の株式が放出される「真空状態」が生じる。アクティビストにとっては、市場で一気に株式を買い集める格好の機会になりうる。真空状態の解消を助け、株式を中期に保有する「安定株主」のファンドも出てきた。

COLUMN
「言われる前にやる」先手の経営
アクティビストや同意なき買収の提案は株価が割安な企業が対象になる。多くの場合、「手を付けられる改善点を漫然と放置している」(投資銀行)。上場している限り、見逃されることはない。自ら動くことが重要だ。

PART4
日本に上陸する米アクティビズムの新戦術 企業に迫る早期「和解」 取締役要求、勝率は7割
勢いを増す米国のアクティビストは企業の取締役を要求した際の勝率が7割に上る。現経営陣の再任に反対し、抵抗されれば「和解」を得る効率的な戦術がはやる。トレンドは日本に輸入される可能性が高い。先手を打つ重要性が高まっている。

EPILOGUE
買収提案=成長機会の発想を
世界的な金余りや割安な株価を背景に多くの日本企業が買われやすい状況が続いている。すぐそばに迫る危機に日本企業はどう対応すべきか。トップの姿勢が問われている。

校了乙
9月29日号特集「アクティビスト対峙バイブル」を担当記者が解説
9月29日号特集「アクティビスト対峙バイブル」の読みどころを、担当した阿曽村雄太記者が3分間で解説する。

聞く校了乙
9月29日号特集「アクティビスト対峙バイブル」を阿曽村雄太記者に聞く
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。9月29日号特集「アクティビスト対峙バイブル」の読みどころを、担当した阿曽村雄太記者に聞きます。
PROLOGUE
第2特集
人

編集長インタビュー
ヤマハ発動機・設楽社長「デジタル技術と感動を融合させる」
ヤマハ発動機が大黒柱とする二輪で有望なインド市場。王者・ホンダとは違うプレミアム戦略で市場への浸透を狙う。差異化の鍵は、コネクテッドなどを軸にしたデジタル技術と、人間の感性を刺激する製品の開発だ。二輪に続く柱のマリン分野でもプレミアム戦略を磨き、感動創造にまい進する。

敗軍の将、兵を語る
創業約50年の旅館、度重なる水害で無念の閉業
異常気象が地域経済に甚大な被害を与えている。山形県大江町では温泉旅館が閉業を迫られた。約50年にわたり営業を続けてきたが、近年は豪雨によって2度の水害に見舞われた。堤防を整備するため旅館は移転の対象に。「ここ以外での営業は考えられない」と苦渋の決断をした。
連載

テックトレンド
建設現場の遠隔施工 人手不足を解消する切り札に
遠隔操作の建設機械を使う「遠隔施工」が当たり前に導入されるようになってきた。現場では労働環境の改善や人材不足解消の切り札として期待されている。新たな働き方が遠隔施工を軸に生まれ始めている。
![[最終回]真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第7章 盛者必衰(21・22)](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00172/091900096/s800.jpg?__scale=w:240,h:180&_sh=0400250520)
連載小説「チップス」
[最終回]真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第7章 盛者必衰(21・22)
「弊社は、新生フェニックスのCEOとして、チャールズ・ハン氏を迎えることになりました」舞台の袖で待機しているチャールズの耳に、大きな喝采が飛び込んできた。チャールズには、衝撃的だった。日本の巨大半導体メーカーのトップへの台湾人の就任が、なぜ歓迎されるんだ。

連載小説「二宮損得」
暇そうな家臣が多くても数は減らせない。二宮金次郎を諭した藩主の答え
小田原藩は、なぜ藩士の数を減らせないのか。減らせば俸禄(ほうろく)の支払いも減り、財政が好転することは知れきっているのに。

BOOK
楠木建氏が読む『稲盛和夫と二宮尊徳』〜特異な影響力を持つ経営者
二宮尊徳と稲盛和夫には驚くほどの共通点がある。「心がすべてを決めている」と稲盛は言い切る。成果=考え方×熱意×才能──努力と才能があっても考えが間違っていれば立派な仕事はできない。すなわち尊徳の言う「心田を耕す」だ。
世界鳥瞰
時事深層

GLOBAL
グーグル、独禁法訴訟で「勝利」 クローム分離回避、ネット広告激震
米Googleのネット検索が独占禁止法に違反していると認定された裁判で、米連邦地方裁判所は2025年9月2日、是正措置を公表した。WebブラウザーChromeの分離には踏み込まず、Googleの実質的な勝利に等しい。

ENVIRONMENT
募る地元住民の不安 ダイキン、PFAS対策に450億円
ダイキン工業の淀川製作所でのPFOA流出問題。同社は450億円超の巨額の対策費を投じたものの、情報開示に慎重なことから、地元の不信感は高まっている。環境省はPFOS・PFOAをめぐる法制度の整備を進めており、今後対策を求められる企業が増えそうだ。

MOBILITY
EV不毛の日本で価格攻勢かける海外勢 ホンダ・スズキ、新型EVで防戦へ
電気自動車(EV)の比率が「1%台」と主要先進国で最も低い日本でも、ここにきて車種や価格の選択肢が広がり始めた。輸入車メーカーが価格面で攻勢をかける一方、国内メーカーも先行した日産自動車に続き、ホンダやスズキが新型EVの投入を進める。国内勢は外資勢の価格攻勢をかわしつつ、シェアを高められるかが問われている。

WORK&CAREERS
SMBC日興の初任給、大卒と同じ33.7万円 「高専生」争奪、金融機関も参戦
金融業界で「高専生」への注目が高まっている。SMBC日興証券で今年、初めて総合職として高等専門学校(高専)卒業生が入社。即戦力のデジタル人材として期待する。だが、高専生は製造業やインフラ関連企業からも引っ張りだこで、求人倍率は既に20倍超。業種を超えた人材争奪戦が激しさを増す。

AI
高齢化で需要増「不死の技術」 AIで故人“復活”、相続争いも防ぐ
故人のAIアバターとの対話を通じて、死別の苦しみを和らげている遺族がいる。人間の意識を機械に移すことで不死を目指す研究も進む。実現すれば、生に限りがあることを前提にした道徳観を根本から見直さねばならない。

INFRASTRUCTURE
熊谷組など、防衛展示会に企業の出展倍増 陸自の最前線に建設DX
陸上自衛隊がICT(情報通信技術)施工やDXを積極的に取り入れようとし始めた。塹壕造りのためにドローンで地形を把握したり、建機を自動化したりする取り組みが進む。陸上自衛隊勝田駐屯地(茨城県ひたちなか市)にある施設学校で、訓練の現場や陸将補の施設学校長らを取材した。
EPILOGUE

ニュースを突く
全都道府県1000円超で始まる試練 最低賃金が迫る、人事の抜本改革
最低賃金の引き上げで正規と非正規との格差は埋まりつつある。職場のモチベーションを維持するために、給与制度の改革に臨む必要がある。

編集長の視点/取材の現場から
アクティビスト対峙、建前と本音
「アクティビストからの株主提案が否決され、ホッとしました」。株主総会シーズン後、複数の経営者からこのような安堵の声を聞きました。今やどこが狙われてもおかしくないだけに、上場企業の経営者はアクティビストの動きに敏感にならざるを得ない。

賢人の警鐘
ワークマン土屋哲雄専務「形だけの中期経営計画は無意味。計画ではなくビジョンを示せ」
米トランプ政権の自国優先主義が世界を震撼(しんかん)させている。もはや来年の経済環境すら予測が難しい。想定外の事態が多発する中、上場企業がこぞってつくる中期経営計画に意味はあるのか。