今日はガスト、明日はバーミヤンに出勤――。
すかいらーくHDは7月、スキマ時間を使って働くスポットワーク(スキマバイト)を募る仲介システムを導入した。「すぽくる」と呼ばれる専用のスマートフォンのアプリを使用する。対象者は、すかいらーくグループで勤務するアルバイトやパートなどの従業員。自社のエンジニアなどが、約半年かけて開発した。
同社はガストやバーミヤンなど15ブランド以上の飲食店を展開する。その全国約2600店舗で専用アプリを使った人員補充を開始した。グループ内であれば業態を横断して自由に働くことができるようになる。すかいらーくHDの谷真会長は「従業員から『色々な業態で働いてみたい』という希望があったので応えた。欠員を補充しやすくする狙いもある」と話す。
外食業界では、スキマバイト市場の拡大が続いている。仲介とマッチングをするアプリ大手のタイミーをはじめ、メルカリやリクルートなど、参入企業が相次いでいる。
タイミーの調査によると、スポットワークを導入する企業のうち約20%を飲食企業が占める。物流業界、小売業界に次いで、3番目に需要が高い。2025年2~4月における「接客・給仕を伴う仕事」の求人数は110万件以上に上った。外食業界にとって、人手の確保は喫緊の課題である。

一方、スキマバイトの活用は法整備が不十分でリスクもあると指摘されている。
厚生労働省は7月、「『スポットワーク』の労務管理」と題したリーフレットを公開し、労務管理の周知徹底に乗り出した。労働者向けと企業向けにそれぞれ作成し、賃金や労働時間に関する注意点などを明記。これまでグレーゾーンとされてきた「通勤労災の取り扱い」などについて、労働法制上の扱いを改めて文書化した。
法制上のリスクだけでなく、高い手数料も企業の経営を苦しめている。
企業側はタイミーなどの人材仲介会社に対し、「サービス利用料」として、ワーカーに支払う報酬(交通費などを含む)の3割を支払うのが一般的だ。とある外食大手の幹部は「外部のサービスに頼ると、アルバイト募集にかかる金銭的負担はかなり大きくなる」と頭を悩ませる。
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