「一億総中流」と呼ばれたのは遠い昔。様々な格差が生じているニッポン。企業の人件費抑制が消費低迷や人口減少に拍車を掛け、マクロ経済に悪影響が及ぶ。一方、活力ある企業経営のためには、処遇で働きに報いることも欠かせない。不合理な格差を解消しつつ、横並びを脱して組織の競争力を高める「公正な格差」を実現する道はあるのか。ニッポンの格差の実態から、経営の処方箋を導き出す。(写真=Lerbank-bbk22/stock.adobe.com)
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「格差社会」を正す経営

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全10回

パナソニック系やメルカリ 中堅・幹部の「給与格差」を見える化
格差是正だけが企業にとっての課題解決策ではない。超優秀新人を高給採用、中堅層は昇降格、シニアも処遇で競争……。あえて前向きな「社内格差」をつくり、人材を鍛え、競争力を押し上げる。

日本特殊陶業・大東建託、定年後も現役並み賃金 実力主義でシニアを戦力
シニアの定年後再雇用における待遇に変化が出てきた。従来の画一的な扱いから評価制度の導入へと一転。能力や実績に報いるいわば「公正な格差」で人材力を強化する。

非正規雇用は消費停滞招く「ダークサイド・イノベーション」BNPパリバ・河野氏
非正規雇用の拡大や就職氷河期が格差につながってきた日本社会。企業のコスト抑制が経済の縮小をもたらす「合成の誤謬」に陥った。不合理な格差を解消し「包摂型」の経営を目指す努力が欠かせない。
![[新連載]「社会の分断、日本でも」オイシックス社長の危機感 困窮世帯を支援](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00787/091700001/s800.jpg?__scale=w:240,h:180&_sh=050ae0ce00)
第1回
[新連載]「社会の分断、日本でも」オイシックス社長の危機感 困窮世帯を支援
経済格差が教育格差に直結する今の日本社会。「分断は間違いなく日本にも起きる」。約80社からなる困窮家庭を支援する団体「WeSupport」を取りまとめているオイシックスの高島社長はこう危機感を募らせる。利益をため込んできた日本企業は「分配重視」に変われるか。

第2回
中流消滅、7人に1人が「最下層」 7つの格差データが示す日本企業の罪
正規から非正規への労働代替が加速すると、格差は一気に広がった。企業利益は過去最高を更新する一方、従業員への分配は伸び悩む。中間層の復活が叫ばれる中、格差が固定化した現実をデータが示す。

第3回
イオンリテール、非正規の年収60万円アップも 正社員並み待遇に
非正規雇用の拡大や就職氷河期が格差につながってきた日本社会。不合理な格差を解消し「包摂型」の経営を目指す努力が欠かせない。小売り大手イオンリテールは非正規社員の待遇を改善。「正社員並み」にするという改革に踏み切った。新たな等級を設け昇格試験も実施する。

第4回
ノジマ、ひとり親へ学業支援金 最大150万円、教育格差解消の一助に
相対的貧困率が特に高いひとり親世帯。ノジマは支援金の支給や看護休暇でひとり親を支援。月5000円の「ひとり親家庭手当」を支給し、学業支援金をひとり親に対しては増額。150万円と1.5倍になる。多様な人材と働き方を会社の強みに。

第5回
ALSOK埼玉・山九、氷河期世代を積極採用 初めて正社員となった人も
日本経済の「失われた30年」の象徴ともされる就職氷河期世代は40代や50代に差し掛かり、就職状況が好転した今なお深刻な政策課題になっている。人手不足がまだら模様に深刻化する中で、氷河期世代を受け入れ、会社の力とする動きも出てきた。

第6回
大和証券、新卒初任給で20万円以上の差 「博士学生」を高処遇で採用
格差是正だけが企業にとっての課題解決策ではない。超優秀新人を高給採用、中堅層は昇降格、シニアも処遇で競争……。あえて前向きな「社内格差」をつくり、人材を鍛え、競争力を押し上げる。

第10回
格差時代のキャリア形成「個人は会社を使い切れ」 法政大・田中教授
賃金カーブは「若手を上げ、中高年を下げる」形に大変動した。人口減、長期停滞の中での賃下げは多様な格差のもとになった。企業は積極投資、個人は脱・会社頼みのキャリアづくりが必要だ。
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