コスメプロセスプランナーが紹介する化粧品のつくり方

化粧品(コスメ)を作りたい!!を応援するための情報発信をします

メイクポーチから宇宙への旅路:化粧と宇宙の意外なつながり

こんにちわ、ラムネです。

 

今日は「化粧」と「宇宙」がつながっているかもしれないという、ちょっと不思議なお話をしてみたいと思います。

 

普段私たちが当たり前のように使っている「化粧」や「コスメ(cosmetics)」という言葉。


実はその語源をたどっていくと、「宇宙(cosmos)」や「秩序」という、とてもスケールの大きな世界とつながっているのでは?ということが推察できました。

 

このブログでは、日本語の「化粧」という言葉のルーツから始まり、英語の「cosmetics」やその語源「cosmo(コスモ)」、そして古代の人々が感じていた「宇宙=秩序」という世界観まで、わかりやすく解説していきます。


このブログでわかること

  • 「化粧」という言葉の日本と中国での由来
  • 英語「cosmetics」の語源と「cosmo」との関係
  • 「cosmo」が意味する「宇宙」と「秩序」の二つの側面
  • 古代人の宇宙観と化粧の深い意味のつながり
  • 「化粧=顔や体に秩序を与える行為」という考え方

1. 「化粧」という言葉のルーツはどこに?

まずは「化粧(けしょう)」という日本語の成り立ちから見ていきましょう。

 

「化粧」は、「化(け)」と「粧(しょう)」の2文字でできています。
「化」は“変わる”“変化する”という意味で、「粧」は“よそおう”“飾る”という意味です。

 

つまり、「化粧」は「姿を変えるために装うこと」と考えることができそうです。

 

この言葉は中国から伝わったとされていて、古代中国の書物『礼記』や『詩経』などでは、「粧」が女性の装いを表す言葉として使われていた記録もあります。

 

ただし、「化粧」という組み合わせの言葉そのものが中国ですでにあったのか、日本で組み合わせたのかははっきりしていません。
少なくとも、日本では奈良時代から平安時代にかけて「けしょう」「けしき」など、顔の変化や雰囲気のことを表す言葉として使われるようになっていたようです。

 

当時の貴族社会では、白粉(おしろい)や紅(べに)を使って顔を整えることは、単なるおしゃれではなく精神的な儀式のようなものでもあったように思われます。


2. 「cosmetics(コスメティクス)」の語源をたどる

次に、私たちがよく使う「コスメ(cosmetics)」という言葉の成り立ちを見てみましょう。

 

この言葉は、ラテン語「cosmetica」やフランス語「cosmétique」を経て、現代の英語「cosmetics」になったと言われています。

 

そしてその元となっているのが、古代ギリシャ語の「κοσμητικός(kosmētikos)」です。

 

この言葉には「整える技術に長けた」「美しくするための力を持つ」といった意味があり、さらに遡ると「κοσμέω(kosmeō)」=“飾る・整える・順番をつける”という動詞にたどり着きます。

 

つまり、「cosmetics」とは、外見を整え、美しく配置し、調和をもたらすという行為そのものを表す言葉だったと考えられます。


3. 「cosmo(コスモ)」と「cosmetics」の関係

実は、「cosmetics」と「cosmo」は、どちらも古代ギリシャ語の「kosmos(κόσμος)」という言葉から派生した兄弟のような言葉だとされています。

 

「kosmos」には、以下のような意味がありました:

  • 宇宙(the universe
  • 秩序・整然とした状態
  • 美しい配置・装飾
  •  

つまり、古代ギリシャでは「宇宙=美しく整った秩序」という考え方が存在していたのです。

 

それが時を経て、「顔や身体を美しく整えること」=「cosmetics」という言葉として使われるようになったのではないかと考えられます。

 

両者のつながりは、単なる偶然ではなく、「整える」「調和させる」という思想が根っこにあるのだと思います。

 


4. 「宇宙=秩序」だった古代人の世界観

現代の私たちにとって、宇宙は「謎」「混沌」「無限」「ブラックホール」など、少し怖くて不思議な存在に思えるかもしれません。

 

でも、古代の人々、特にギリシャの哲学者たちは、宇宙を“整った秩序”として見ていたとされています。

 

空に浮かぶ星々が規則的に動き、季節や暦とリンクしていることに気づいた彼らは、
この世界全体が何かしらの調和や理性に基づいていると感じていたのかもしれません。

プラトンピタゴラスの思想では、「天体の動きは音楽のような調和を持っている」とされ、「宇宙は美しい秩序そのものだ」と考えられていたそうです。

 

こうした考え方から、「kosmos(コスモス)」という言葉には「整った宇宙」や「理想的な秩序」といった意味が込められていったようです。

 


5. 化粧とは“自分の宇宙”を整えること?

このように見ていくと、「cosmetics(化粧)」という言葉には、「宇宙を整える」と同じような意味合いが含まれているのではないかと思えてきます。

 

たとえば、朝のメイクで肌の色を整え、眉を描き、口紅でアクセントを加える。
この一連の流れは、顔というキャンバスに、調和と秩序を与える作業といえるかもしれません。

 

そしてその作業は、見た目だけでなく、気持ちや意識まで整えてくれることが多いのではないでしょうか。

 

つまり、化粧とは単なる“外見の美化”ではなく、自分自身の「内なる宇宙」に秩序と調和を与えるとても哲学的な行為なのかもしれません。


6. メイクポーチに眠る「小さな宇宙」

今、あなたのメイクポーチの中には、ファンデーション、リップ、チーク、スキンケアアイテムなど、いろんなアイテムが入っていると思います。

 

そのひとつひとつが、顔という“世界”を美しく整えるための道具です。

 

それはまるで、宇宙を形づくる星や惑星のように、全体のバランスをつくっているのかもしれません。

 

そう考えると、メイクポーチは「自分だけの宇宙を整えるためのツールキット」だとも言えそうです。

 

なんだか、毎朝のメイクがちょっと尊く思えてきませんか?


まとめ:化粧は顔に描く“秩序ある宇宙”

「化粧」「cosmetics」「cosmo」「kosmos」…

 

それぞれの言葉が時代や文化を超えてつながっていることに、私はとても不思議なロマンを感じます。

 

そしてそこには共通して、「整える」「美しくする」「秩序を与える」というテーマが流れているように思えます。

 

もしかすると、私たちが日々おこなうメイクは、心と体のバランスを整える“小さな宇宙儀式”なのかもしれません。

 

そんな気持ちで今日のメイクをしてみたら、いつもより少しだけ、丁寧になれるかもしれませんね。


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暑さ対策!?冷感アイテムの裏側を探る

こんにちわ、ラムネです。

6月も後半、いよいよ本格的な夏が近づいてきましたね。
この時期になると、街のドラッグストアやコスメ売り場では「冷感ボディシート」「クールスプレー」「ひんやりマスク」など、“涼しさ”を感じさせるアイテムがずらりと並びます。

でも、ちょっと待ってください。

その「ひんやり」は、本当にあなたの体を冷やしてくれているのでしょうか?
じつは私たちが“涼しい”と感じているその感覚、**錯覚**かもしれません。


このブログでわかること

  • 冷感コスメってどんなもの?
  • 「ひんやり=冷却」ではない理由
  • TRPM8受容体とメントールの関係
  • 熱中症リスクとの関係性
  • 冷感アイテムを安全に使うコツ
  • 薬機法と広告表現の注意点

1. 冷感コスメってどんなもの?

冷感コスメとは、使用時に「ひんやり」とした感覚を与える成分を配合したコスメや日用品のことです。

代表的なアイテムには、以下のようなものがあります:

  • 冷感ボディシート(汗拭きシート)
  • クールスプレー(服に吹きかけるタイプ)
  • 冷感ジェル・ローション
  • マスク、下着、衣類などに使われるコスメグレードの冷感加工

これらは特にスポーツやアウトドア、猛暑日の通勤・通学時に重宝され、夏の定番商品として人気を集めています。


2. 「ひんやり=冷却」ではない?

私たちが「ひんやりする!」と感じた時、それは実際に体温が下がっているわけではないことが多いのです。

冷たく感じる原因は、主に2つ。

  1. 気化熱(肌表面の水分が蒸発することで熱が奪われる)
  2. 冷感成分による「神経への刺激」(錯覚)

特にメントールのような成分は、肌の温度を変えなくても“涼しく感じる”仕組みがあります。


3. TRPM8受容体と錯覚のメカニズム

メントールが「冷たい」と感じさせるのは、TRPM8(トリップエムエイト)受容体というセンサーが関係しています。

これは、体の中にある“冷たさを感知するセンサー”で、普段は気温が下がったときなどに反応するのですが、メントールやエタノールといった成分でも刺激を受けて活性化します。

つまり、実際の気温や体温が高くても、TRPM8が刺激されると脳は「冷たい!」と錯覚してしまうわけです。


4. メントール・カンフルなどの代表的冷感成分

冷感コスメに使われる主な成分には、次のようなものがあります:

  • メントール(ハッカ由来。代表的な冷感成分)
  • カンフル(樟脳。清涼感と鎮痛作用)
  • エタノール(揮発性でスーッとする感覚)
  • パラメントール系合成冷感剤(クール感を強調)

これらは感覚的にはとても“さっぱり”した気分にさせてくれますが、**体温を下げる効果は基本的にありません。**


5. 実は危ない?熱中症との関係性

「涼しく感じるから、もう大丈夫」と思い込んでしまうことが、**最大のリスク**です。

体温が高いままなのに、涼しく感じることで水分補給や休憩を怠ってしまうと、気づかぬうちに熱中症に近づいてしまう可能性があります。

とくに、冷感スプレーやシートを使用して安心感を得てしまうことが逆にリスクになることも。

実際、以下のような事例報告も:

  • 冷感スプレーを多用し屋外活動を継続 → 熱中症で搬送
  • 冷感マスクを使用し続け、脱水に気づかず悪化

6. 薬機法や広告表現で気をつけたいこと

「冷却」「体温を下げる」などの表現には要注意です。

薬機法の観点では、体温調整熱中症予防のような効果を訴求することは医薬品的な効能とみなされる可能性があります。

おすすめの言い換え表現:

  • 「ひんやりとした清涼感」
  • 「スーッと爽やかな使い心地」
  • 「夏にうれしいリフレッシュアイテム」

メントールなどの配合についても、「肌の感覚をすっきりとさせる」など、あくまで“感覚”としての表現が無難です。


7. 安全に使うためのポイント

冷感コスメは上手に使えば、夏を快適に過ごすための強い味方になります。

以下の点を意識するとより安全です:

  • 炎天下での長時間使用時は過信せず、こまめな水分補給を
  • 子どもや高齢者には注意して使用を
  • 「冷却」ではなく「清涼感」だと理解して使用する

おわりに:冷感は錯覚、でも活かし方次第

冷感コスメの「ひんやり」は、TRPM8を刺激することで生まれる感覚のトリック
実際の体温は下がっていないという点を知ったうえで、冷感コスメを味方にできると、夏の快適さがグンとアップします。

この夏は、「錯覚」と上手に付き合って、賢く“涼しく”なりましょう!


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化粧品検定って本当に意味あるの?

業界15年目のラムネが、“コスメ業界で働きたい人”にこそ伝えたいリアルな話

こんにちは、ラムネです。

化粧品が好きで、

「この仕事に関わってみたい!」

「いつか企画や開発をやってみたい!」

…そんな思いから、化粧品業界に飛び込んでくる人はたくさんいます。

そしてその入口の一つとして、よく名前があがるのが「日本化粧品検定」。

でも、実際のところ――

  • 検定って、本当に意味あるの?
  • 資格を取ったら就職できるの?
  • 化粧品業界で通用する知識なの?

そんな素朴な疑問に、今日は業界15年目&講師の視点から

なるべくリアルにお答えしたいと思います。


🔍 このブログでわかること

  • 化粧品検定って、就職や転職に本当に役立つの?
  • 国家資格じゃないけど、学ぶ意味はあるの?
  • 実際の化粧品業界では、どこまで役に立つの?
  • 業界経験15年・講師のラムネが実感した「教える側の気づき」
  • どんな人が検定を受けるとスキルアップにつながる?
  • 検定を受けた“その先”に何がある?


「化粧品検定=国家資格」ではない

日本化粧品検定は国家資格ではなく「民間資格」です。

そのため、

  • 国家資格のように法的効力があるわけではない
  • 資格取得が必須の職種は限られている
  • 給与や待遇に反映されるかどうかは企業によって異なる

ただし、それでも私はこの資格には価値があると思っています。


実務に効く“基礎体力”が身につく

化粧品業界で必要とされる知識は非常に幅広いです。

  • 肌の構造
  • 美容成分の分類と役割
  • 薬機法(旧薬事法
  • 表示名称や広告規制
  • 化粧品の処方構造や剤型

検定教材は、これらを体系的に学べる優れた教科書です。


ラムネが業界に入ったころ、こういう教材はなかった

私が入社した頃は、薬機法や処方、体の構造について親しみやすく学べる教材なんてなかったんです。

専門書はあったけど、分厚くてうんざりする量。研修はあったけど断片的。

とにかく先輩に聞いて、専門書を読み解くことを繰り返す日々。

あのとき、今の検定テキストがあったら、どれだけ助かったか…。

それくらい、初心者の導入教材として優秀だと思っています。


講師になってわかった「教えるための知識」の意味

講師として活動して、実感したことがあります。

「知っている」ことと「伝えられる」ことは全く違うということ。

ある日、講座で「乳化」について説明したときのこと。


「乳化とは油と水が混ざる現象のことですね。

そのままだと混ざらないけれど、界面活性剤が入ると安定して混ざります」

私にとってはいつもの説明。でも、受講者は「???」

「乳化?」「分離?」とその言葉の今からちんぷんかんぷん。

私はこう言い換えました。


「ドレッシングって、時間がたつと油と酢が分かれますよね?

化粧品でも、同じように油と水が分かれないように“界面活性剤”で混ぜてるんです。

例えるなら"マヨネーズ"です」

その瞬間、受講者の表情がパッと明るくなりました。

この経験から私は「知識を翻訳する力」の重要性に気づきました。

検定で得た知識は、現場でも「人に伝える力」になります。


現場はもっと複雑。でも、基礎がある人は強い

処方開発、薬事対応、品質保証など、実務は検定以上に深いです。

でも、基礎があると応用力が違います

検定は「ゴール」じゃないけど、確実に「スタートライン」としては最高です。


こんな人におすすめ!

  • 化粧品が大好きで、もっと深く学びたい人
  • 業界でのキャリアを考えている人
  • 美容部員・販売職で説明力を高めたい人
  • 化粧品ブランドを作りたい人
  • 後輩を指導する立場の人


資格=就職ではない。でも、知識=信頼になる

化粧品業界では「経験重視」の文化が根強いですが、

知識がある人は、経験と掛け算になって飛躍的に成長します。

だから私は、日本化粧品検定は“土台作りのための最高の武器”だと考えています。


最後に:ちょっと未来の自分に投資してみませんか?

誰でも最初は素人。

でも、知って、学んで、行動していくことで、必ず見える景色は変わります。

まずは一冊、検定のテキストを手に取ることから。

あなたの未来の扉が、そこから開いていくかもしれません。

結局宣伝!?と思われたくなかったので、最後になりましたが。

ラムネも日本化粧品検定協会の講師資格を持ってますので、検定対策講座で講習可能です。

現在は受験生の皆さんが普段から学習に取り組めるように、ラインで勉強できる公式ラインアプリも開発中です。

完成したらブログでも紹介しますので楽しみにしていてください。


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「シミが消える」はNGワード?広告表現と薬機法の上手な付き合い方

こんにちは、ラムネです。

今日は、コスメを企画する人やコピーを書く人なら一度はつまずく、薬機法と広告表現のお話をしてみようと思います。

ちょっと地味なテーマではありますが、実はここ、商品企画やブランディングの成否を左右するほど大事なところ。

「うっかり書いた一言」がアウトになることもあるので、ぜひ一度じっくり向き合ってみてくださいね。

「シミが消える」はなぜダメなのか?

まず、基本から。

化粧品の広告で「シミが消える」と書くのは、薬機法(旧薬事法)違反になります。

理由はシンプルで、「シミが消える」というのは医薬品的な効能効果にあたるから。

化粧品に許されているのは、「肌を整える」「うるおいを与える」といった緩やかな作用の範囲だけです。

消える・治る・改善するといった言葉は、たとえ気持ちを込めて書いてもNG。

あくまで「見た目の印象」や「使用感のよさ」で伝えることが求められます。

じゃあ、どうすれば伝わるの?

「シミが消える」は言えない。

でも、「シミが気になる人に届けたい」という思いはきっと変わらないはずです。

そこで大事なのが、言葉の工夫商品設計の工夫

思いを真っすぐ届けるために、少しだけ「遠回しな表現」や「カテゴリの選び方」を考えてみましょう。

言い換えのテクニック:メイクアップ効果で“魅せる”

まずは「メイクアップ効果」をうまく使う方法。

たとえばファンデーションやコンシーラーなら、

「シミを隠す」という効果を、「メイクによるカバー力」として表現できます。

OKな表現例:

  • メイクアップ効果で気になる部分を自然にカバー
  • 光反射パウダーで透明感のある肌印象に
  • 均一な肌トーンへ導く補正力

これなら、一時的な視覚的効果と見なされ、薬機法的にもOK。

「隠す」ではなく「ぼかす」「整える」などの表現にすると、より自然に伝えられます。

印象で語る:ふんわり伝える表現力

次に、“印象”に言及する表現

これは、「シミに効く」とは言っていないけれど、

「シミが気になる人の期待に応えられるかも」と思わせる“余白”のある伝え方です。

印象系の表現例:

  • くすみのない、明るい印象へ
  • 自然なツヤ感で若々しい肌印象に
  • 肌全体が均一に整ったような仕上がりに

有効成分で勝負したいなら“医薬部外品”に

どうしても「シミ・そばかすを防ぐ」といった具体的な効能を伝えたいときは、

医薬部外品(いわゆる薬用化粧品)として商品設計するという手段があります。

医薬部外品は、厚労省に届け出を出して有効成分を配合すれば、次のような表現が可能になります。

薬用表現の例:

  • 美白:メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ
  • 抗炎症:肌荒れ・ニキビを防ぐ
  • 殺菌:体臭・汗のにおいを防ぐ

企画のアイデア:薬用ファンデーションの例

ここで、広告表現とカテゴリ選定を両立した商品設計のイメージ例をご紹介します。

商品名(仮):ToneCare薬用カバーファンデ

カテゴリ:医薬部外品

有効成分:トラネキサム酸(美白)、グリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症)

その他成分:光拡散パウダー、セラミドヒアルロン酸など

想定コピー例:

  • メイクしながら美白*ケア
  • トラネキサム酸配合。日中もシミ予防*
  • 光補正設計で、くすみを飛ばす

*美白:メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ

薬用化粧品にするメリットとデメリット

医薬部外品(薬用化粧品)」というカテゴリは広告表現の面では非常に強力ですが、

当然ながら良いことばかりではありません

メリット:

  • 訴求力のある表現が使える(美白、肌荒れ予防など)
  • 有効成分による裏付け効果が伝えられる
  • 安心感・信頼感につながる場合がある

デメリット:

  • 届け出・審査が必要。製造・表示にも制約あり
  • 処方の自由度が低く、最新の美容成分が使えない可能性あり
  • 開発期間が長くなり、コストも高くなる傾向

特に、話題のペプチドやビタミンC誘導体など、

“化粧品だからこそ使える成分”が、薬用では使えないというケースは少なくありません。

NG表現の「つもりミス」に注意!

「これは主観だから大丈夫」と思っていても、

読み手が「治る」と思ってしまえばNGになります。

たとえば:

  • 「シミが消えた気がする」
  • 「ホクロを除去!」
  • 「たった3日で効果実感」

こうした表現は、医薬品的な印象を与えるとして薬機法違反になる可能性があります。

まとめ:ルールの中でも、伝える手段は無限にある

  • 化粧品広告では「治る・消える」はNG
  • メイクアップ効果や印象で伝える工夫を
  • 強い訴求をしたいときは医薬部外品も選択肢に
  • ただし処方や開発面での制約もあるのでバランスを

薬機法は「制限」ではなく、誠実なブランド作りの土台でもあります。

伝えたい想いをどう言葉にのせるか、その表現力こそが、化粧品企画の“腕の見せどころ”ですね。


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透明なだけで合法に?化粧品セットアップと“適プラ”の知られざる関係

こんにちは、ラムネです。

 

最近、ずっと気になっていることがあります。
化粧品売り場から、あの"クリアケース"が少なくなった気がするのです。
クリアケースとはプラスチック(PETやPP)でできている透明な箱状の容器で化粧品用の容器としても良く使われていましたが、最近あまり見ないような気がしていました。

 

展示会でお話した企業様から聞いたところ、
どうやらコロナ禍の影響や「脱プラ」「SDGs」などの流れで
PETやPPといったクリアケースの使用が一時期激減したのだとか。

 

確かに、環境への配慮はとても大事です。
でも、「だからプラスチックは使わない」が本当に最適解なのでしょうか?

 

 

この記事では、私ラムネがそんな違和感を感じたきっかけや、
化粧品パッケージにおける透明素材の役割、
そして「脱プラ」に代わる新しい考え方として
“適プラ”という提案をしてみたいと思います。

 

 


 

✅この記事でわかること

  • 化粧品セット販売で気をつけたい包装ルール
  • クリアケース(透明パッケージ)の意外な実力
  • 「脱プラ」だけでない、賢い資材選びの考え方

 


 

🧴お店でシャンプーとコンディショナーを箱に入れると薬機法違反?

 

ある日、展示会でPET・PPを使って包装材料を製造する企業の方と名刺を交換。
後日、お話を伺っておりました。その中で最近クリアケースが減った背景などを伺っていました。


どうやら、コロナ禍での市場の縮小や、脱プラ・SDGsの流れで、透明パッケージの採用が減ってきているとのことでした。

 

そういった色々な話題で盛り上がっていたところ

ふと、あることが気にかかりました。

 

中身が見えない箱に化粧品をセット組するのは許可がいるが、
透明な袋や箱にアソートしてリボンを縛るなどなら許可が要らないのでは?

諸々調べてみた結果、答えは YES です。

 

 

化粧品は、法定表示が消費者から容易に確認できる状態でなければならないと薬機法で定められています。

 

  • 法定表示が隠れる
  • → 店頭では確認できない
  • → 法定表示を箱に記載しなければならない
  • → 外から見えない包装をして、上から法定表記を貼り付けるなどの行為
  • → その行為は製造に該当 → 製造業許可が必要
  •  

というわけですが、この化粧品に表示を行う製造行為を行わない装飾等であれば

製造業許可はいらないということになります。

 


✅解決策:透明なケースを使う

そこで役立つのが、中身が見える透明ケース。たとえばPETやPP製のクリアケースなら、

  • 一般的に法定表記は商品の裏側や底側にある
  • 透明なパッケージ越しに表示が確認できる
  • そのため、ケースには法定表記を書く必要がありません

この状態であれば、製造行為に該当せず、許可がなくてもセットアップ可能となる場合が多いのです。

 


💡表面デザインは自由自在

 透明クリアケースなどを使えば「透明ケースだと味気ない」という声もあるかもしれませんが、

  • 正面にPOPシールを貼る
  • 台紙を内側の表側に挟み込む
  • 限定のキャンペーンでステッカーを差し替える

中身は同じ・包装も同じ・表現だけを変えることができるのは、在庫管理にも販促にもとても優れた特性です。

たとえば、

シャンプー&トリートメントのセットを

  • ドラッグストア用にはA案POP
  • ECサイト向けにはB案ステッカー

といった使い回しも容易です。


🌱脱プラ一辺倒では、かえってもったいない

確かに、環境負荷の高いプラスチックを減らそうという姿勢は素晴らしいです。 でも、それが行き過ぎて「とにかく紙にすればいい」という思考停止になっていないでしょうか?

紙素材は確かにエコに見えますが、包装を紙資材で作ってみると

  • 小ロットのたびに都度制作
  • 資材を作るエネルギー負荷
  • 製造業許可を持った企業でのセットアップ作業が必要

といった側面もあります。

そこにきて、クリアケースのような素材を うまく活用できれば

  • 製造許可の問題をクリア
  • 資材の使い回しでロス削減
  • デザインの柔軟性を確保

実務×サステナビリティの両立が実現できるのでは?と感じました。


💬「脱プラ」ではなく・・・・

ここでひとつ、言葉を提案させてください。

「脱プラ」ではなく、「適プラ」へ。

プラスチックをやめることが目的ではなく、その先の本質的な目的を考えることが大事。

  • 必要以上に使わない
  • 使うなら使い回しやすい設計にする
  • 規制との整合性を踏まえた使い方をする

これが、「適プラ(適切なプラスチック利用)」という考え方だと思います。


📦こんなときに適プラが活きる!

シーン 適プラの効果
化粧品とお菓子のセット販売 許可不要で販売可能、販促の自由度アップ
店舗別プロモーション展開 POPだけ変更して共通資材活用、在庫最小化
季節イベントやギフト展開 クリアケース+台紙で簡単に差し替え対応

📝まとめ:プラをやめるか、うまく使うか

  • プラスチックは万能ではない
  • 正しく使えば「脱プラ」以上に環境負荷が少ない場面もある
  • 法規制とデザインの両立も可能

「捨てない・無駄にしない・賢く使う」 そんな"適プラ"の発想、あなたの商品づくりに取り入れてみませんか?


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お菓子とコスメって、一緒に売ってもいいの?

〜包装と衛生の視点でちょっと気をつけたい話〜

こんにちは、らむねです。

 

先日、とある化粧品企画の相談で、こんな質問をいただきました。

 

「お菓子と一緒にコスメをセットにして販売しても大丈夫ですか?」

 

こういうギフトセットのアイデア、実はとてもよく見かけます。

 

ちょっとしたプレゼントやイベント商品などにもぴったりで、お菓子と小さな化粧品を組み合わせた企画はとても魅力的です。

 

 

でも、食品と化粧品という“カテゴリが違うもの”をセットにして販売するとなると、実は気をつけなければならないポイントがいくつかあります。

 

 

今回は、薬機法・食品衛生法の観点包装設計(パッケージ)のポイントを中心に、食品と化粧品を一緒に販売するときに注意したい点を、わかりやすくまとめてみました。

 

 


 

1. 食品と化粧品、一緒に売っても大丈夫? 

 

まず最初にお伝えしたいのは…

 

✅ 食品と化粧品をセットで販売すること自体は、法律で禁止されているわけではありません。

 

ただし、その前提として、

 

 

という、それぞれ異なる法律のルールにきちんと従っている必要があります。

 

 

つまり、両方の商品が個別に適切に製造・包装・表示されていれば、一緒に箱に詰めて販売することは基本的に問題ありません。

 

 

とはいえ、「ルールを守っているつもり」でも、ちょっとした見落としや包装設計の甘さが、思わぬトラブルや行政指導につながることもあります。

 


 

2. 食品衛生法の視点から見た注意点

 

食品衛生法には、化粧品と一緒に売ってはいけないという規定はありません。

 

しかし、「衛生上の配慮」と「消費者に誤解を与えない表示」の2点が大事です。

 

 

✅ においや成分の移行リスクがないか

  • 香りの強い化粧品(リップやバスソルトなど)が、食品と直接隣接していると、におい移りや成分の付着が問題視されることがあります。

 

  • 個包装が不十分な場合は、「衛生面で不適切」として指導される可能性があります。

 

✅ 表示が混乱していないか

 

  • 食品の成分や賞味期限、化粧品の全成分や製造販売元など、それぞれの表示義務項目が確認できること。

 

  • 外装が化粧品と食品をまとめて包んでいて、中身が見えない・表示が読めない状態であれば、改善指導の対象となります。

 

つまり、「セットで売ること自体はOK」でも、その売り方に工夫と配慮が求められるということです。

 


 

3. 香りって、実際に移るの?

 

移ります!!

しかも、意外と簡単に

たとえば、よくあるトラブルとしては

 

  • 柔軟剤の隣に置いていたカップ麺に、柔軟剤の香りがうつっていた

 

  • 化粧品とお菓子を一緒に詰めたら、飴にリップの香料がついていた

 

これは「香気移行(こうきいこう)」と呼ばれる現象で、香料などの揮発性成分が包装資材を通り抜けて他の製品に移動してしまうことを指します。

 

見た目にはしっかり密封されているように見えても、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの軟包材では、香料を完全に遮断できないこともあります。

 

このため、香りに敏感な食品(チョコやクッキーなど)では、香気移行による風味劣化のリスクが高まります。

 


 

4. 食品と化粧品、包装の構造と注意点

 

🍬 キャンディ・グミ(ピロー包装)

  • 包装構成例:OPP//CPP
  • 特徴:透明で軽くヒートシール性に優れるが、香りバリア性は弱め

 

🍫 チョコレート

  • 包装構成例:PET//蒸着PET//PE
  • 特徴:酸化や香りの移りを防ぐ高バリア設計

 

🍜 袋麺・スープ

  • 包装構成例:ナイロン//PE など
  • 特徴:湿気や酸素にある程度強いが、香気はやや通しやすい

 

🍛 レトルト食品

  • 包装構成例:PET//アルミ箔//ナイロン//PP
  • 特徴:完全密封に近い構造で、あらゆる影響を防ぐ

 

さらに、化粧品の容器構造もポイントになります。

  • チューブやボトル、スティック型などは、使用性や保存性を考慮して設計されています。

 

  • キャップなどで一応密閉されていますが、「容易に取り出せる構造」であるため、完全な密閉性とは異なる点に注意が必要です。

 

特に香料を含む製品では、容器の構造や材質によって香気移行が起こる可能性があるため、個包装や仕切りなどの工夫が必要です。

 


 

5. 安心してセット販売するためのポイント

チェック項目 内容
✅ 個包装 食品・化粧品ともに未開封の状態であること
✅ におい対策 香り移行が起きないよう、仕切り・別袋などで工夫する
✅ 表示確認 食品と化粧品それぞれに法定表示があり、外から確認できる状態

 

まとめ:見た目の可愛さ+安心の設計を

 

お菓子とコスメのセット販売は、プレゼントや季節限定商品としても人気があります。

 

一方で、香気移行や表示の不備などがあると、食品としての信頼性が下がる可能性があります。

 

 

見た目のかわいさや企画性だけでなく、包装の機能や衛生面での配慮も、商品価値のひとつといえます。

 

これからセット販売を企画する方にとって、今回の内容がヒントになれば嬉しいです。


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化粧品OEM視点で考える「容器選定」のポイント ~化粧水容器の選び方を実例で解説~

こんにちは、「ラムネ」です。

化粧品業界に身を投じてから、だらだらと15年以上たちました。

OEMの裏側を知ってるからこそ伝えられる情報を、現場のリアルな目線でブログに書いています。

 

今回のテーマは「容器」。

 

化粧品の容器を選ぶときって結構大変なんです。

そんな容器選びについて今回は紹介します。

 

 


化粧品容器の基本的な4つの役割

化粧品の直接容器(中身と直接触れる容器のこと)には大まかに下記のような役割があります。

 

  • 保管性:中身を光や空気、異物から守り、劣化や乾燥から防ぐ役割
  • 可搬性:中身を使用者や販売者などが持ち運べるようにする役割
  • 使用性:適量を快適に取り出す(吐出口、開閉方式など)役割
  • デザイン性:ブランドや商品の世界観を視覚的に表現したり、法定表記を表示する役割

化粧品の容器は、単なる”入れ物”と言うだけでなく、製品の機能性と価値を高めるためには重要な要素の一つなのです。

 

 

今回は化粧水用の容器を選択する場面を例に考えてみましょう。

 


容器選定で最初に考えるべきこと

最も基本的でありながら重要なポイントが、「中身との相性」です。

 

たとえば、化粧水の場合には以下のような点を考慮します。

  • 配合成分(例:香料やアルコール)が容器を劣化させないか

  • 内容物が揮発しやすくないか

  • 酸素や光に敏感でないか

これらを事前に想定し、加速試験や密封性試験などで事前検証を行うことで、リスクを最小限に抑えることができます

 


香気成分と容器の相性

特定の成分を多く含む処方では、容器の材質や形状によっては香りが透過したり容器が凹んだりすることがあります。

オレンジ油やペパーミント油などは容器のヘッドスペースの空気中の酸素を自身の中に溶かし込んでしまうという特性がありますが、これが原因で容器の凹みが発生したりする場合があります。

 

対策としては以下のようなものがあります。

  • 厚めの樹脂ボトルにする

  • 凹みがわかりにくい形状のボトルを使う
  • 香料に強い材質(PETよりHDPEなど)を使う

  • ガラスボトルに変更する

 

凹みが分かりにくい形状のボトルというのは、予めくびれがある容器や、四角形のボトルなどが該当します。

 

 


印刷方式と形状によるコストの違い

 

つづいては、容器の形状が印刷方式に与える影響も重要です。

デザインが素敵だからと言って印刷やラベル貼り等の工程の事を考えずに形状を選択すると、後で後悔してしまうことも良くあります。

 

化粧水を入れるボトル容器の形状は簡単に分類すると次のようなものがあります。

化粧品容器には商品名を印字したり、デザインを施したり、法定表記を印刷またはラベルで貼付けしたりします。この工程の時に容器の形状がとても重要です。

 

シルクスクリーン印刷の特性

化粧品でよく用いられるのが「回転シルクスクリーン印刷」です。
これは円筒状の容器を回転させて一気に印刷する方式で、コスト効率が高く、見栄えも良いのが特徴です。

一方、角型やオーバル型のボトルでは、裏表で別の工程となり、印刷コストが2倍近くになるケースもあります。

詳しい仕組みはこちらで紹介されています:
👉 回転シルクスクリーン印刷とは?|販促品ドットコム

 

● ラベル貼りでもコスト差が出る

ラベル貼りをする場合も同じく、容器を回転させながらラベルを貼り付ける機械を使用します。

容器が角形だと、接着店が一定の場所に定まらないの回転している容器に貼るのが難しいことは容易に分かるかと思います。

そのため、手で貼る作業が必要になりコストが上がります。

 

 


吐出口の大きさと中身の粘性

吐出口の設計も非常に重要です。とくに中身が高粘度の場合は、中身がなかなか出てこないこともありますので、以下のような工夫が必要になります。

  • 吐出口を大きめに設計する

  • スクイズ性のある柔らかいボトルを採用する

  • ミストポンプやドロッパポンプをを使うことで利便性を向上

また、ヒンジキャップ(ワンタッチキャップ)は、使いやすさとコストの両面で評価されており、片手操作やキャップの紛失リスク低減にもつながります。

 

 


売り場・販路によって変わる最適解

販路によっても、最適な容器は異なります。

  • 実店舗向け:棚に並べやすく、スペース効率が良い形状(高さ・幅)

  • 信販売向け:ポスト投函や軽量化に対応できる薄型容器

  • 高級品向け:ガラスや金属素材で高級感を演出

実際には、棚の高さ制限や横幅制限、物流コストなどを総合的に見て、容器を選定していく必要があります。

 

まとめ:容器選定は戦略そのもの

容器選定は、ただの“入れ物”選びではありません。

・中身との相性
・ユーザー体験
・印刷方式とコスト
・流通や棚割り
・ブランド表現とトレンド

これらすべてを複合的に考えて、「その商品のための最適な容器」を導き出す必要があります。

 


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