チームの生産性を上げるには何が必要か。らしさラボ代表の伊庭正康さんは「経験も、責任も、重ねてきたリーダーが、みんなと同じ仕事をしていたら、実はコストのムダ遣いである。生産性を上げるもっともシンプルな方法は、あなたより給料の低い人に任せること、つまり職場では部下に任せること。“自分でやる”から、“自分たちでやる”へ切り替えなくてはいけない」という――。
※本稿は、伊庭正康『リーダーの「任せ方」の順番 部下を持ったら知りたい3つのセオリー』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
役職は、能力ではない
むしろ部下のほうが「優秀」と考えてみる
上司か、部下、どちらが優秀だと思いますか?
まず、こう考えてください。
「むしろ、部下のほうが優秀かも」
そう考えないと、上司は務まらないでしょう。
だって考えてみてください。必ず、上司には見えていない盲点があるはず。
現場の隠れた問題を知るのは、きっと部下のほうでしょう。
新しいAIの活用法も、きっと部下のほうが詳しいのではないでしょうか。
部下は、上司が見えていない「箇所」を把握していることが普通ですし、
また、上司が気付かない「対策の選択肢」も持っているものです。
さらに、上司にはできない「得手」があるものです。
むろん、部下にも得手不得手はあります。
それこそ、主体性が高い部下もいれば、頭にくるほど低い部下もいることでしょう。
でも、得手がない部下はいません。
同時に、主体性の低さは、すべての事象に対してのことではないでしょう。
“このことに関しては低い”と考えるのが自然です。
部下の「得手を引き出す」「主体性を引き出す」、
これこそが上司の役割です。