※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーを考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
きちんと老後資金を把握していたのに…
現役世代の方はご両親などから嘆きの声を聞いたことがあるかもしれませんが、年金の手取り額が減り続けています。「“ねんきん定期便”で確認しているから大丈夫」という方も今一度本稿で、思わぬ“落とし穴”にハマっていないかチェックをお願いします。
「この年金の額、間違ってますよね?」
ある日、知り合いの60代ご夫婦が血相を変えて私のもとにやってきました。大藤さん夫妻(仮名)は夫が定年退職し、昨月はじめて年金を受給。その振り込み金額を見て、慌てて私のところに駆け込んできたのです。
大藤夫妻は、夫の年収が現役時代は平均600万円程度で、いわゆる高給取りの会社員でした。妻はずっと専業主婦で働いたことはなく、国民年金でいう「第3号被保険者」の立場です。そんなご夫妻はハガキで毎年送られてくる「ねんきん定期便」をチェックし、老後資金について試算してきました。つまり、大藤夫妻は準備を怠っていたわけでもなく、むしろきちんと老後資金を把握し、計画されてきたわけです。
「ねんきん定期便」に書いてあった金額と違う
大藤夫妻のねんきん定期便のハガキを見せてもらうと、「老齢年金の見込み額(年額)」として、夫が約200万、妻が約50万と記載がありました。夫妻はこの金額を見て、「月額の年金を2人合わせて約20万円と見積もっていた」と話します。
しかし、実際に振り込まれた年金はというと、2人合わせて18万円ほどで、2万円足りないというのです。なぜ大藤夫妻の手取りがねんきん定期便の額面より少なくなってしまったのでしょうか。ここがまさに今回の“落とし穴”だったのです。
私自身、この連載で何度も、「ねんきん定期便は必ず毎年チェックしましょう」と話してきたように、大藤夫妻も毎回欠かさずチェックしていたわけですが、実はこのねんきん定期便に記載されている「老齢年金の種類と見込み額(年額)」(※50歳以上の方の「ねんきん定期便」に記載)に書かれた金額は、あくまで額面の金額であり、手取りの金額ではないのです。では何が差し引かれているのか、解説していきます。