さまざまな場面で意思決定が求められるリーダー職。でも、「これが本当に正しいのだろうか…」と自分の考えに自信が持てず、なかなか決断できないことはありませんか? 不確実性の高い現代において、正解のない課題は山積みです。そんな中でも、自分で考え、決断するため、私たちには何が必要なのでしょうか。優柔不断リーダーから抜け出すためのノウハウを徹底取材しました。

多数決は責任逃れ!?

 「管理職に求められる重要な役割の1つが『決めること』です。決めることでメンバーはすぐに行動できます。行動が早ければ、結果も早く見えてきます」と話すのは、企業に研修やコンサルティングを行う固(KATAMARI)代表取締役の前田鎌利さん。ソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)やボーダフォンなど、スピード感を求められる通信業界に17年間従事した経験を持つ。

 仕事には期日があり、それまでに成果を出さなければならないため、早い意思決定がメンバーのアクションを促進し、早く結果を出すことにつながる。だから「意思決定の数を増やすことが生産性を上げることになる」と言う。

 「当たり前のことですが、意思決定は多数決ではありません。事務的なルールに関することであれば多数決でもよいですが、事業提案に関わることで多数決はNG。多数決は単なる責任逃れで、権限を持つリーダーが最後は自分の責任で決めるというのがルールです」

多数決で決めると判断を誤ることも……
多数決で決めると判断を誤ることも……

 とはいえ、管理職にとっては「間違ったらどうしよう」「データがまだ十分ではないのでは」という不安が、決断を遅らせる要因になる。

 「ビジネスにおいて100%確実な成功はありません。自分では大丈夫だと思っても、環境の変化でうまくいかないことは当然あります」。そこで前田さんはソフトバンクグループの創設者、孫正義氏の哲学を参考に、100点満点まで待つのではなく、ある一定の完成度で意思決定することを勧める。