6434人が犠牲となった阪神大震災からきょうで31年。
発生後の転入や誕生で震災の体験がない人が、神戸市民の3分の1以上を占める。記憶の継承が難しくなるとされる「30年の壁」の問題に直面している。
市民グループの調査で、兵庫県で予定される追悼行事は前年から20件減の37件と過去最少になる見込みだ。
中心を担った住民らの高齢化は加速しており、継続はより困難になる。被災者の体験や教訓を風化させず、次世代へ伝える取り組みを積み重ねたい。
阪神大震災では、平時の救急医療が提供されていれば助かった「避けられた災害死」が約500人いたとの報告がある。教訓に基づき、災害派遣医療チーム(DMAT)が設立され、東日本大震災や能登半島地震などで活動してきた。
ただ、南海トラフ巨大地震では死者が最大29万8千人と試算され、被災地は広範にまたがる。DMATは全国に2万人規模の登録者がいるが、到着の遅れなどで不在の地域が出てくる。
こうした事態に備えるため、神戸市では昨年、地元の開業医らが災害時の救急医療を担うチームを発足させた。DMAT不在時、応急処置や治療の優先度を決めるトリアージなどを行うという。
広域災害が起きて外部支援を期待できない状況は京都や滋賀でもあり得る。参考にしたい。
過酷な避難生活が原因の「災害関連死」を防ぐことも重要な課題だ。
能登地震では石川、新潟、富山の3県で約470人が認定され、建物倒壊などによる「直接死」の2倍超に達する。
高齢者ら災害弱者の避難生活を支援する「災害派遣福祉チーム」も被災地で活動しているが、実働できる人材の確保に苦心する。研修・訓練を充実させ、組織の底上げを図る必要がある。
被災後の能登では、復興に時間を要するうちに住民が流出する問題が深刻化している。
人口減少が進む中、被災したまちを元の姿に戻すのは現実的ではない。発災前から、再建手順や将来像を決めておく「事前復興」が、まちづくりの点でも重要になる。
国はガイドラインを示して計画策定を促すが、京滋では進んでいない。国土交通省によると、昨年7月の時点で策定は京都市のみで、京都府内の23市町村、滋賀県内の全19市町は検討していないという。被災後のまちの未来を描いておきたい。
年末に見直された首都直下地震の被害想定は、死者が最大1万8千人と、12年前の想定より2割減ったが、「おおむね半減」の目標には届かなかった。
地震時に火災の恐れがある密集木造住宅地のリスクを減らせていないためだ。京滋にも共通する課題で、建物の不燃化や道路の拡幅などを進めたい。