少子化が加速する中、日本の将来を担う子どもの育ちや学びの基盤を、いかに整えて支えるのか。その青写真と方策を各党は示すべきだ。
情報教育の強化や不登校、発達障害などへの対応といった幅広い業務の一方、教員の担い手不足は深刻だ。給与は一定改善されたが、労働時間は「世界最長」が続き、休職など先生の疲弊が目立つ。
「質より量」を重視してきた保育環境は、施設格差や事故などのほころびが見える。大学は「すぐ役に立つ研究」が重視され、地方を中心に定員割れで淘汰(とうた)も進む。
山積する重い課題に対し、衆院選で各党とも、聞こえのいい負担軽減策に偏っているのは残念だ。
自民党は幼児教育・保育の無償化、同じ与党の日本維新の会は全教育課程の費用無償化を唱える。野党の中道改革連合は、就学前教育・保育の無償化を主張する。
それらは教育や育児の施策体系の中でどう位置づけ、何を狙うのか。必要な費用と財源はどれほどか。責任ある説明が要る。
選挙や党利優先で「無償化」を持ち出すなら、ひずみが生じかねない。今春に予定される高校授業料の無償化が典型ではないか。
約1年前、少数与党だった自民が予算成立と引き換えに、当時野党の維新の要求を急きょ受け入れた。すでに公立高で実施されており、春以降は所得制限なく、私立高の生徒も無償化される。
先行実施する大阪や東京では私立高に人気が集中。公立高の志願者が減り、存続が危ぶまれるなど影響が出始めている。私立高の少ない地方は恩恵が限られるのに加え、子どもや子育て世帯の都市流出に拍車をかける懸念が強い。
追加で4千億円が必要だが、恒久的な財源確保は示されないままだ。果たして持続可能なのか。
4月からは、医療保険料に上乗せ徴収する「子ども・子育て支援金」が始まる。26年度は6千億円を集めて児童手当拡充などに使うが、「独身税」との批判も聞かれる。育児支援か、少子化対策か。効果も目的も財源も曖昧なまま、導入した弊害ではないか。
国民民主党は支援金の廃止を主張。教育、科学技術予算の倍増に向け、国債を発行するという。チームみらいは「子育て減税」を掲げ、子どもの数に合わせて親が払う税金を安くすると訴える。
目先の負担減が、次世代のツケ払いになるなら本末転倒だ。有権者は長期的な視点も持ちたい。