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takoratta.hatenablog.com
前回の記事(生成AI時代の人間の創造性とは)では、スピッツの変拍子やピカソのキュビズムを例に、創造性とは「逸脱」や「ズレ」の中から生まれるものであることを説明した。既存の文脈を疑い、新たな秩序を打ち立てる力。そうした“文脈の外れ方”にこそ、創造性の本質があるという話だった。 だが今回は、もう少し我々に身近な領域である、ビジネスにおける創造性を取り上げたい。 アートの世界では、創造が評価されるまでに時間がかかっても構わない。ゴッホのように、生前は理解されずとも、死後に評価されることもある。だがビジネスは違う。時間軸が圧倒的に短い。「ズレ」からスタートした創造がビジネスとして形になることまでが、アートに比べると短い時間で達成することを求められる。 では、ビジネスにおける創造性とはいったい何か。「ズレ」に加えて、別の何かがあるだろう。今回の記事では、それを探索してみたい。 ズレること=創造的では
プロダクト開発に携わる人なら、一度は見たことがあるはずだ。 「最初にスケートボードを作り、それをキックボード、自転車、バイク、そして自動車へと進化させていく」──あの有名なMVP(Minimum Viable Product)の図である。 © Henrik Kniberg, CC BY-SA 3.0 Making sense of MVP (Minimum Viable Product) - and why I prefer Earliest Testable/Usable/Lovable - Crisp's Blog この図は、「最小限でも価値を提供できる形で始め、段階的に改善するべき」という、いわば“リーンスタートアップの心得”を端的に表現したものだ。 ずっと感じていた違和感 だが、私はこの図にずっと違和感を持っていた。 「スケートボードを欲しい人」と「車を欲しい人」はそもそも違う。
スピッツの「美しい鰭」は、映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の主題歌としても知られる有名な楽曲だ。私も好きなスピッツの楽曲の1つで、リリース当初から何度も耳にしていた。 www.youtube.com ご存知のように、この曲のAメロは変拍子だ。私は学生時代にバンド活動に打ち込んでいたこともあり、8分の7が2小節続くという構造にも自然と気づいた。 流れるようなメロディーと草野マサムネの優しい歌声がいつも通り響く。しかし、その調和の中に、明確なリズムの「ずれ」が存在している。その違和感は不協和音とはならず、むしろ聴く者の心を捉える魅力として際立ってくる。 ふと思った。この変拍子のアイデアを、果たして生成AIは生み出せるだろうか? もちろん、スピッツっぽい曲調を生成AIに頼むことは可能だ。実際、「スピッツ風のギターポップを作って」と指示すれば、それらしいコード進行やメロディを出力することはできるだ
かつての夢、そして挫折 「Programming is Dead. Long Live Programming ー プログラミングは死なず。ただ老兵は去るのみ」では、生成AIによる自然言語プログラミングの登場が、プログラミングの歴史からも必然であることを説明した。そして、プログラミングがより抽象化され、コンピューターから遠ざかり、ビジネスに近づいていること、今後さらにその流れが進む可能性があることを述べた。 さて、今回は、そこからさらに踏み込み、「誰もがプログラムを作れる世界」という夢が一度挫折し、今ふたたび新たな形で蘇ろうとしていることを見ていこう。 1959年、COBOLは「ビジネス担当者でも読める、書けるプログラミング」を実現するために誕生した。当初のプログラミングはアセンブリ言語が主流であり、ハードウェアに近い複雑な命令を扱う必要があった。その後に誕生した世界初の本格的プログラミン
2010年、米国のテクノロジー誌『WIRED』にて、当時編集長だったクリス・アンダーソンは「The Web is Dead. Long Live the Internet」という挑発的なタイトルの記事を発表した。これは、Webが死に、アプリケーションを中心としたインターネットが新たな主役になっているという主張だった。 アンダーソンはこの中で、かつてHTMLベースのWebページが中心だったインターネット利用の大半が、すでにYouTubeやFacebook、Twitter(現X)、そしてスマートフォンのアプリなど、Webブラウザの外側での活動に移っていると指摘していた。人々はもはやリンクをたどって情報を集めるより、アルゴリズムによってキュレーションされたフィードや、目的別に設計された専用アプリを通じて情報にアクセスしている。それは効率的で、快適で、収益性も高く、多くの人が支持する流れでもあった
「Programming is Dead」──この挑発的な言葉を公の場で語ったのは、NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアンだった*1。 彼は、「AIの進化により、誰もが自然言語でプログラムを作れるようになる」「もはや子どもたちにコーディングを教える必要はない」とまで言い切った。この発言は、ソフトウェア開発の現場だけでなく、教育界にも波紋を広げた。 そしてこの発言は、彼ひとりのものではない。例えば元Googleエンジニアで、現Fixie.aiの創業者であるマット・ウェルシュは、「AIの台頭によって、プログラミングのやり方そのものが根本から変わる」と述べており、自身の論考『The End of Programming』の中で、プログラミングの終焉ではなく“変容”を論じている。 たしかに、生成AIが提示するコードは、十分に実用レベルに達しつつある。ノーコードツールも進化し、「コードを書かない開
今から20年以上前、私がマイクロソフトに在籍していたころ、Windows XPの日本でのCMにレニー・クラヴィッツの楽曲が採用された。曲名は「Dig In」。私はこのCMの前からレニー・クラヴィッツの音楽が好きだったので、彼の起用を喜んだ記憶がある。 レニー・クラヴィッツの代表曲のひとつに「Rock and Roll is Dead」がある。直訳すれば「ロックンロールは死んだ」。しかしこれは、ロックという音楽ジャンルそのものが終わったという意味ではない。むしろ、商業化し表面的なイメージばかりが強調される音楽業界への皮肉と、ロックの精神を問い直す強いメッセージが込められている。 実際、「Rock is Dead」という言葉は、クラヴィッツに限らず、幾度となく音楽業界で語られてきた。時代が変わるたびに「ロックは死んだ」と言われてきた。しかし、ロックはそのたびに形を変えながらも生き続け、私たちの
飛び恥 飛び恥、英語ではFlight Shameという言葉があることを知った。環境に配慮して、飛行機での移動を控えようというものだ。ヨーロッパで盛んになった運動で、ドイツでは国が積極的に国民に呼びかけを行っており、フランスでは鉄道で2時間半以内で移動できる距離の飛行機の運行が禁止された。 抜け道があるとか、どこまで二酸化炭素排出量の削減に効果的であるのかという疑問もある。グリーンロンダリングという言葉もあるように、環境に配慮しているというポーズだけではないのかなどの声もあるようだが、このような動きは今後も確実に増えていくだろう。 グリーンコーディング IT業界でも、グリーンITという言葉がある。IT自体をグリーンにしよう、すなわちIT利用時にできるだけ環境に優しくするという考えと、ITを活用することで環境負荷を減らそうという考えの双方を含んだ言葉だ。 前者はIT機器や環境、利用方法をグリー
tl;dr 私が監修した本が出る。 私が顧問をしているクライス&カンパニーという人材紹介会社のキャリアコンサルタントが書いた本である。 クライス&カンパニーはここ数年、プロダクトマネージャーの転職支援に注力しており、日本で一番プロダクトマネージャーに詳しいコンサルタントだ。 彼らの書いた本(私も一部協力した)なので、プロダクトマネージャーを目指す人にはお勧め。 * はっきり言って宣伝です m(_ _)m プロダクトマネージャーになりたい人のための本 エンジニアからプロジェクトマネージャー・事業企画・経営コンサルタント・デザイナー・現役PMまで 作者:松永 拓也,山本 航,武田 直人 翔泳社 Amazon プロダクトマネジメントが浸透した日本の状況 プロダクトマネジメントやプロダクトマネージャーも日本にだいぶ定着してきたと思う。しかし、まだいくつもの課題がある。なんちゃってプロダクトマネジメ
Facebookにノート (Notes) という機能があった。通常の投稿とは別に記事のような形で文章を作成し、それを共有できる機能だ。 creating and editing notes will be unavailable after October 31. We know your posts are important, so any published notes will stay published on your profile. However, any unpublished drafts will be deleted. この投稿にあるように、Notesは昨年10月をもって新規作成ができなくなったが、過去に書かれたものはアクセスできる。 はずである。 しかし、2022年4月11日現在、Notesという機能/セクション名はどこにも見つからず、検索してもひっかからない。
小学校でのプログラミング教育が開始され、すでに2年が経とうとしている。新型コロナウィルス(COVID-19)による混乱の結果、GIGAスクール構想は前倒しとなったが、プログラミング教育についてはそれどころでは無くなった学校も多かったようだ。そのような実態は特定非営利活動法人みんなのコードが行った「プログラミング教育実態調査」からも垣間見ることができる。 code.or.jp プログラミング教育実態調査からの抜粋 知人のお子さんがちょうど小学校の低学年ということもあり、最近、再度小学校のプログラミング教育について考えることが増えている。「再度」と言ったのは必修化される前に、自宅近くの小学校の公開授業を見学したり、みんなのコードや未踏ジュニアの担当者とも意見交換していたことがあり、そのときにも色々と考えを巡らせたことがあったからだ。そのときの考えは以下のnoteの記事として公開した。 note
子供たちが僕たちが作ったChromebook (ChromeOS) でプログラミングを学んでいる (Codemonkey)。涙が出そうになった。 #STEAM前原小 pic.twitter.com/uhqUvpgSDT — 及川卓也 / Takuya Oikawa (@takoratta) November 26, 2016 Chrome OSが10周年を迎えたようだ。おめでとう。 Chromebook turns 10 東京にChromeチームが立ち上がりかけていた頃、将来計画などを説明に来ていた本社マウンテンビューのディレクターからOSを作ることを考えているという話を聞いた。Webに最適化されたOSが必要だと熱く語ったそのディレクターは東京のChromeチームの設立の支援者でもあり、東京にもそのOS開発チームを作りたいと言っていた。六本木ヒルズ近くの居酒屋だったと思う。2009年の頃だ
プロダクトは宗教である。 Emacsとvim、各種プログラミング言語などの例でもわかるように、プロダクトは宗教だ。各宗教や宗派に属するものが自らの信じるものを他者に広める。 昔話 筆者が20代を過ごしたDEC (Digital Equipment Corporation) という会社はVMSという自社OSが主力プロダクトだった。VAXというプロセッサーと合わせて、あらゆる規模のシステムにも同一アーキテクチャで展開できるその柔軟性や分散処理に優れている点などが支持され、一時はIBMに次ぐ世界2位のシェアを誇った。 しかし、やがてオープンスタンダードによるマルチベンダープロダクト間のインターオペラビリティが求められるようになる。標準化団体による標準化が進むも、実績にまさるUNIXとTCP/IPがデファクトとして普及する。 そのように時代が動き始めたとき、社内で起きていた議論が次のようなものだ。
なんか全然ブログを更新していないことに気づいた。間を空ければ空けるほど、どうでも良いネタだと許されない気がして、ますますハードルが上がる。そもそもは個人の日記のようなものだから、許すとか許されないとかない。思い上がりも甚だしい。じゃ、なんか書くか。でもネタがねぇ(無いと ねぇ をかけている。ダジャレを説明するようになったら終わりだと思っているんだが、実際終わっている)。 #買って良かった2020 と思っていたら、お題「#買って良かった2020」とか言うのが出ているので、これに乗ろうと思う。 今年は、新型コロナウィルス感染症の懸念が高まった3月からほとんど在宅で仕事するようになった。これにより衣食住への考えが劇的に変わった。 衣 まず、衣類。自宅で仕事するにしても、きちんと仕事モードに切り替えるために、部屋着から着替える。部屋着に。どうせビデオ越しにしか映らないので、正直、なんでも良いっちゃ
4月からの新年度で地方へ赴任になる同僚の送別会は例外だよね。 長年の勤められた先生の退官記念パーティーは来年っていうわけにはいかないよね。 卒業して社会人となったら、もう会えなくなるから、ちょっとタイミング悪いけど、最後に集まろう。 先週、自粛が求められる中、このような「例外」処理と称しての会食がまだ行われていたようだ。 Social Distancingという言葉が感染症の拡散対策で聞かれるようになったが、この言葉が意味するところが今ひとつピンとこないところがある。日本語では社会距離拡大とか社会距離確保と言われているが、余計わからない。 今回の感染症は飛沫感染と接触感染が主な感染経路と言われるが、避けるべきことは物理的な距離を一定以上に保つことだ。ならば、物理距離拡大とか物理距離確保、英語ならば、Physical Distancingとするべきじゃないか。 と、そんなことを考えていたのだ
カンボジアにキリロムという場所がある。プノンペンから車で2時間〜3時間ほどかかる場所だが、カンボジアの軽井沢とも言える高級避暑地だ。 vキリロム会議 ここで開かれたvキリロム会議というものに参加してきた。このキリロムにネイチャーリゾートと工科大学を作った日本人起業家がおり、一年ほど前に知り合ったことから今回の会議に招待された。会議は事業や工科大学での教育について広く議論するものだ。今回は、東南アジアを中心にビジネスをしている起業家や教育関係者、メディアや技術者など54名の参加があった。テーマごとのパネルディスカッションを中心に、学生を交えた議論や学生が行っている事業をピッチする場などが用意されていた。 カンボジアという国は内戦により知識層の多くが虐殺された歴史を持つ。そのため、教育が行われてこなかった。人口ピラミッドを見ると、かなりいびつな形となり、同じような発展途上の他国とも異なる事情を
番外編 中国高鉄の駅弁 ユースホステルのインターネット洗濯機 初日(香港〜深セン) Advanced Meal Delivery Service タクシー運転手のレーティング 2日目(深セン) KFC 地下鉄 QRコード デリバリーサービス Mobike 盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ) カルフール(家乐福) 城中村 Didi(滴滴快车) 3日目(深セン) バッテリー貸出 本屋 市民中心のLEDショー 4日目(深セン〜香港) 雑な感想 11/20〜23まで香港経由で深セン(深圳)に行ってきたので、その備忘録。これをもって、深センが凄いとか、いや日本の方が優れているとか言うつもりは無い。 行きは香港経由。 番外編 いきなり番外編となるが、香港へ向かう機内で今回の深セン行きに同行してくれた秋吉理学氏*1 から次のような刺激的な話を聞く(注:いずれも深センの話ではない)。写真は氏撮影のものをお借
シアトルのセーフコ・フィールド近くにLiving Computer Museumという博物館がある。1960年代から今に至るまでのコンピューター技術をハンズオンで体験できる施設で、つい先日亡くなったPaul Allenが設立したものだ。 コンピューターの歴史を知ることができると言えば、シリコンバレーにあるComputer History Museumが良く知られているが、このLiving Computer Museum(正式名称は、Living Computer Museum + Labsで略して、LCM+Lと呼ばれるようだ)もその内容は引けを取らなかった。 takoratta.hatenablog.com 1階は今日の技術を中心に、2階はメインフレーム時代から今に至るまでを展示。Computer Hisotory Museumとの大きな違いは、こちらは実際に触れるものが多数あること。 例
オライリーから本日出版された「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド」はエンジニアリングマネジメントを考える人には必読の書だ。 エンジニアリングマネジメントを考える人とは、今すでにエンジニアの上司である人やエンジニアリング組織の長である人はもとより、人事上の上司ではないが、後輩などの面倒を見る立場の人や開発において技術的にリードするような人、そして漠然と将来のキャリアパスとしてマネジメントを考えている人までを含む。さらに言うならば、技術系でなくても、自社の技術組織の戦略を考える立場である人も読むべきであろう。 目次を見るとわかるが、本書はマネジメントされる立場のエンジニアから話は始まる。そしてメンタリングする立場になったとき、次にテックリードになったときと、まさにキャリアパスを1つずつ登っていくのに際しての心構えと具体的なスキル
takoratta.hatenablog.com 昨日書いたBotkitを使ったBotはIBM Cloudライトアカウントを使って動かしているが、このIBM Cloudライトアカウントは 10日間 開発なしでアプリを自動停止 30日間 活動なしでサービスの自動削除 という制限がある。Botなので、ずっと動かし続けているから、後者は良いとして前者については、開発をし続けるしかない。 忘れないようにリマインダーとして、Slackにメッセージを送って貰うようにした。Botkitとnode-cronを用いた。 const = require('cron'); して、startRTM()のところを次のように変えた。 controller.spawn({ token: process.env.token }).startRTM((err, bot, payload) => { if (err) { t
課題自分が属している団体のSlackで運営スタッフだけのプライベートチャンネルがいくつかあるが、プライベートチャンネルのため、どのような運営用チャンネルが存在しているかわからなくなるという問題がある。一度誤って抜けてしまうと、誰かに頼まないと戻れなくなるのだが、誰に頼んで良いのかもわからなくなることもある。 この問題を解決するためにBotを開発した。ただし、プライベートチャンネルのため、Botもそのプライベートチャンネルに所属していないとならない。 運用イメージ 運営用プライベートチャンネルはBotをメンバーとして登録する 運営スタッフはそのBotにメンションかDMかで話しかけることにより、Botが属しているプライベートチャンネルの全リストをその作成者名とともに取得できる 自分が入るべきプライベートチャンネルがあったならば、その作成者にコンタクトし、招待してもらう。ここにはBotは介在しな
お勧め図書は?という質問を受けることがある。 ビジネス書で良い本もあるし、文学書で好きなものもあるが、ここではIT系のメディアで今まで聞かれた際に答えたものを整理しておこう。 まえがきとして書いておくと、正直、推薦図書と言われても回答するのは結構難しい。推薦図書とは、1) 自分が影響を受けた本なのか、2) 今の人に参考にして欲しい本なのかで、まず悩むし、1) の自分が影響を受けた本だとしても、どの時期に影響を受けたのか、さらには 2) のその本を今の人に参考にして欲しいのかでも悩む。参考にして欲しいとしても、そのターゲットは誰かでも薦める本は異なる。 というような悩みを抱えつつ、今までパブリックなメディアや書籍などでお勧めした書籍は以下のものだ。 まず、日経BP ITPro Watcherブログ - Avoid Note*1から itpro.nikkeibp.co.jp itpro.nik
今年もCROSSで先達に聞くこれからのエンジニア像というセッションに参加した。例年にも増して、言いたい放題の本当に勝手放題してしまったが、今年は放言に加えて、年金だとか終活だとか、参加者を無視した内容になってしまったことは反省している*1。 セッションの中で出た30年前に戻ったら何をしたいかという質問に、私以外の登壇者2名*2は数学とお答えになられていて、「今勉強しても、昔と違って記憶力が悪くなっている。(だから昔にもっと勉強しておけば良かった)」と発言されていた。 セッション内でも言ったのだが、おそらくこれは正しくない。 今も昔も覚えるのは大変なのだ。年を取ったことで記憶できなくなったのではなく、昔も覚えるのには苦労したのだ。 私がそのように指摘したら、「昔から能力が低かったってことですね」と笑われていたが、それはちょっと卑屈すぎる冗談として、昔が良かったと考えることでいろんなことを言い
「5.1chって言ってね、6個のスピーカーを配置することで、サラウンドが実現できるんだよ」 「サラウンドって?」 意外に物を知らない彼女にホームシアターを説明しているときだった。 「普通のステレオじゃなくて、前後などからも音が」とここまで話しかけて、彼は口をつぐんだ。 そうだ、彼女はモノラルの世界に生きているんだった。 1年ほど前に彼女は突発性難聴*1を発症し、右耳の聴力を失っていた。 正確には完全に聞こえないわけではない。ただ、一般人の声の周波数帯域と言われている500Hz以上の周波数の音声はかなりの音量でないと聴くことが出来ない。そのため、右から声をかけられても気づかない。 彼女が片耳の聴力を失ってから、彼は彼女との位置を気にするようになった。できるだけ彼女の左側にいるようになった。 彼女抜きで、友人と酒を飲んでいるときなどでも、彼は気になってしまうときがある。ビアホールや若者が多い居
昨日は、HTML5 Conferenceに参加した。初回から連続して基調講演を担当させて頂いているのだが、昨年にGoogleを辞めてからはWebばかりを追っているわけではないので、今回はどのような話をするのか悩んだ。 事前に、html5j代表の吉川さんや矢倉さん、同僚のよーいちろーさんと打ち合わせをして骨子を固めたのだが、すぐに準備に取り掛からなかったので、いざスライドを作り始めようと思ったら、決めたことを忘れてしまっている始末。吉川さんにハングアウトで教えてもらいながら準備をした。本当に酷い orz 講演は思いの外好評のようだった。だが、Twitterでも指摘されたのだが、まるでGoogleの中の人のような話になってしまったことは反省してる。もう少し視野を広く持つようにしたい。ただ、Webというのは1社がコントロールできるものではなく、Webというオープンなコミュニティに参加するすべての
PCデポのサポートサービスや抱合せ的な商法について批判が相次いでいる。 PCデポ 高額解除料問題 大炎上の経緯とその背景(ヨッピー) - 個人 - Yahoo!ニュース このPCデポの件から思い出されたのが、以前、知人のスマートフォンの買い替えに付き合ったときの不快な体験だ。 予期はしていたものの、いろいろな余計なサービスを付加した形でしか契約ができず(実際にはできないわけではないが、その場合はディスカウントが効かずに高額の契約となる)、使いもしないものを付与せざるを得なかった。 この時は、かなり色をなして怒った。単にスマートフォンを買いたいだけなのに、なんで必要ないものを勝手に付けて、そして付けたほうが安価になるんだと。それはあなた(対応してくれている店員)の判断なのか、ショップの判断なのか、それともキャリアの判断なのかと。今考えると、そんなことをそこで色をなして怒っても仕方ないのだが、
リオオリンピック真っ最中で、ネット各社も趣向を凝らしたサービスを展開している。NHKのスマホアプリを使ってネット配信で試合が見れるのは大変重宝している。Googleのサービスも素晴らしく、特にアプリを入れることなく興味ある情報が手に入る。Googleに勤務していた北京オリンピックの時に、担当だったGoogleニュースを中心にオリンピック対応をしたのだが、その時と比べて出来ることが大きく増えたのには感慨を覚える。 Google Japan Blog: Google でオリンピックを楽しもう そのGoogleが今回提供しているのが、Alternative Olympics medal tableだ。これは各国の順位を公式ランキング以外に、人口、GDP、オリンピックへの熱狂度(Olympic Love)、スポーツファン数、食を通じた健康(Healthy Eating)のそれぞれでランク付けしたも
Qiitaの投稿記事を眺めていると、たまに、おやっと思うような投稿記事が注目を集めていることに気づく。WindowsのBATファイルやコマンドプロンプト関連の投稿記事もそんな1つだ。 Windows向けの開発をしている場合はもとより、Windowsを開発プラットフォームにしているならば、いくらWindowsはGUI操作が中心とは言っても、コマンドでの操作が必要となることも多い。 UNIX/Linuxユーザーからすれば、Windowsのコマンドは力不足と思うだろう。実際そうではあるのだが、恐らく想像よりはかなりマシだ。パイプもリダイレクトもあるし、forコマンドなどは結構いろんなことができる。 昔、Windowsをメインプラットフォームにしていた頃は、客先などで標準機能しか使えないところに出向く可能性などもあったので、コマンドプロンプト操作を普段から多用していた*1。同僚などは、私がGUIを
昨夜はOracle Cloud Developer Meetupに参加し、Qiitaの宣伝をさせて頂いた。 oracleclouddevelopers.doorkeeper.jp 普段のイベントとはやや異なる参加者がいらっしゃるイベントで、いろいろと学ばせていただいた。 しかし、何よりも感慨深かったのが、Oracleのイベントに私が出ているということ。 新卒で入った最初の会社であるDEC (Digital Equipment Corporation) は、経営状況が悪化した末期、事業をさまざまな会社に切り売りした。その1つがDEC Rdbだった。事もあろうか最大のライバルであったOracleに売却したときにはかなりの衝撃が走った。もっとも、その後、プロセッサ事業もIntelに売却するなど、似たことが起きて、競合に事業売却することはごく当たり前であることに気付いた。 転職したMicrosof
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