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小1から中3まで不登校だった息子の「今」。シングルマザーが天国に旅立つ前に遺した「生きる力」

『不登校から人生を拓く』イベントリポート2 後編

2025年9月4日に発売された書籍『不登校から人生を拓く――4000組の親子に寄り添った相談員・池添素の「信じ抜く力」』(講談社)。40年にわたり、4000組以上の不登校の親子に寄り添ってきた相談員・池添素さんに、ジャーナリスト島沢優子さんが丁寧に取材を重ねた一冊だ。2025年9月23日には、池添さんの地元・京都の大垣書店イオンモール京都桂川店で2人のトークイベントが開かれ、約100人が参加した。

イベントレポート前編では、本書のきっかけになったユメノさんとカナタくん親子(いずれも仮名)の話を紹介した。シングルマザーであるユメノさんの体調の変化や、学校でのカナタくんの様子を間近で見てきた池添さんの思い、不登校でも学校に“居場所”を持っていたカナタくんの姿を伝えている。後編では、本書では触れられていないカナタくんの現在の様子を通して、二人が感じたことをお届けする。

母の信念が息子に与えたもの

池添素さん:いろいろな事情があり、お母さんが亡くなったことをカナタくんに伝える役割を私が担うことになりました。「一緒にお母さんのところへ行こう」とだけ伝え、詳しい説明はしないまま病院へ連れて行きました。

そして、「実は、お母さんは亡くなったんだ」と話したとき、カナタくんはその場で泣き崩れました。「僕がいっぱい心配かけたからや」「僕の誕生日まで待ってくれたらよかったのに」と口にしていました。突然のことだったので本当に大きな衝撃だったと思います。その後、カナタくんはしばらくの間、亡くなったお母さんと一緒に過ごし、お葬式も終えました。現在は児童養護施設で生活しています。

そこからが私は本当にすごいなと思うところです。カナタくんは単位制の高校に進学し、そこで初めて本格的に勉強を始めました。今は18歳になり、「スクーリングが楽しい」と話しています。休まず通い、楽しそうに学ぶ姿を見て、「勉強って楽しくやるものなんだ」とこちらが教えられました。

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私が強く感じたのは、ユメノさんが生前、カナタくんを本当に信頼していたということです。「この子がやりたいようにさせてあげたい」と何度も話していました。突然お母さんを亡くし、生活環境も大きく変わるという、とても過酷な状況の中でも、カナタくんは一度も荒れることなく、感情を爆発させたりすることもありませんでした。落ち着いて現実を受け止め、前を向いて進もうとしていました。

その姿を見て、今はもう直接伝えることはできませんが、ユメノさんがカナタくんを深く信頼し、彼のやりたいことを支え続けてきたことが、こうした困難な状況の中でも彼が揺るがずに自分の生き方を選び続けられている理由なのではないかと感じています。

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