冬の家計に潜むエネルギーの落とし穴
「猛暑でエアコンをフル稼働させていた夏よりも、冬の電気代のほうが高い」と聞くと、少し意外に感じるかもしれません。しかし、総務省統計局の「家計調査」によると、すべての世帯で冬の電気代が夏を上回るというデータが示されています。
では、なぜ夏よりも冬のほうが光熱費が高くなるのでしょうか。
理由はとてもシンプルで、「冷やす」よりも「暖める」ほうが多くのエネルギーを必要とするからです。
とくに顕著なのが、外気温と設定温度の差です。たとえば、夏に35度の外気を27度まで冷やす場合、その差はおよそ8度。一方、冬に8度の外気を22度まで暖める場合は、差が14度に広がります。この差が大きいほど、エアコンなどの暖房機器はより多くの電力を使うことになります。
さらに、寒くなるとお湯の使用量が増えますが、給湯器で水をお湯に変える際には、水と比べて約3倍のエネルギーが必要になります。つまり、冬は部屋を暖めることに加えて、お湯をつくるためのエネルギーも必要となる。結果として、光熱費がかさみやすいのです。
「ランニングコストの差」に要注意
冬はエアコン以外にもさまざまな暖房器具を使用すると思います。この暖房器具は、用途やランニングコストの違いを意識せずに使うと、光熱費があっという間に跳ね上がる要因になります。
たとえば小型家電を見て「電力も少なくて経済的」と感じることはないでしょうか。しかし、小型家電の代表格であるセラミックファンヒーターや電気ストーブは、電気を熱に変える際に多くの電気代がかかるという性質があります。
これに対し、エアコンはヒートポンプ技術を使い、外気中の熱を取り込んで室内に運びます。わずかな電力で数倍の熱エネルギーを活用できるため、小型家電よりも電気代を抑えやすいのです。
また、オイルヒーターも注意が必要です。「静音性」や「安全性」といったメリットはある一方で、電力消費は非常に多い。ランニングコストを理解せずに使っていると、知らないうちに光熱費が膨らみやすくなります。コストを重視するなら、エアコンがあれば十分かもしれません。


