腸のコンディションが成績に影響する
「塾にも通い、勉強時間も確保しているのに、模試の偏差値が伸びない」
受験期のお子さんをもつご家庭でよく聞く悩みです。その理由の多くは、勉強の量でも質でもやり方でもなく、実は、腸のコンディションがとても関係しているのです。
脳は「腸」とは強いネットワークでつながっているので、お腹の痛みや下痢・便秘といった不調だけではなく、記憶力の低下や集中力の低下、イライラ、睡眠の質低下に大きく影響を及ぼすことが研究で示されています(※)。
※ Silva YP, et al. The Role of Short-Chain Fatty Acids From Gut Microbiota in the Regulation of Neuro-immunoendocrine Function. Front Endocrinol (2020).
逆に腸のコンディションが整うと、「集中力・記憶力・回復力(睡眠)」の三拍子がそろい、同じ勉強時間でも学習の効率が上がり、成果につながるのです。
間食にスイーツ、夜食にカップ麺はNG
腸は食べ物を消化吸収する器官にとどまりません。腸内細菌が作る短鎖脂肪酸(酪酸など)は、腸のバリア機能を守り、全身の炎症を抑えます。ところが、腸で炎症が起きるとその影響は脳にも影響し、情報処理をする際にノイズが増えるような状態となって、ぼんやり感や眠気、集中の低下が起きやすくなります。
例えば、食事の乱れ、特に甘いお菓子の間食や夜食としてのカップ麺などは、砂糖や食品添加物によって腸内細菌叢のバランスが乱れ、便秘・下痢・お腹の張りといった直接的な不調に加えて、朝のだるさ、午後の眠気、イライラの原因となって、結果的に「勉強しているのに頭に残らない」状態になってしまうのです。
さらに、中学生・高校生では、脳と体の成長に伴って、鉄・亜鉛・ビタミンD・B群の不足が起こってきます。これらのミネラルやビタミンの吸収効率は腸粘膜の状態に左右されます。特にビタミンDが不足することで、睡眠の質が悪くなることが知られています(※)。
※ Romano F, et al. Role of Vitamin D in Sleep Disorders of Children and Adolescents: Systematic Review. Int J Mol Sci (2022).
つまり腸が荒れる=必要な栄養が届きにくい、といった状態になりますので、机に向かう前に、まず栄養の入口である「腸」を整えるという考え方が重要です。

