東京大学は半導体チップ上に設けた流路に冷却水を流し、その水が蒸発した際の気化熱も利用してチップを冷やす手法を開発した。半導体チップ上に水を流して冷却する技術は台湾積体電路製造(TSMC)なども開発しているが、気化熱まで利用することで冷却効率を高める。水をチップ表面に薄く広範囲に広げる構造を導入し、毛細管現象を利用して低電力で水の蒸発を促せるようにした。
研究を手掛けるのは東京大学生産技術研究所教授の野村政宏氏らのグループ。「三次元マイクロ流路」と呼ぶチップ冷却構造を開発し、2025年4月に発表した(図1)。