岸田氏襲撃で二審も懲役10年 「殺意なし」の主張退ける 高裁判決

花野雄太
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 和歌山市で2023年、選挙の応援演説に訪れた岸田文雄首相(当時)に向けて爆発物を投げ込んだなどとして、殺人未遂など五つの罪に問われた無職木村隆二被告(26)の控訴審判決が25日、大阪高裁(石川恭司裁判長)であった。高裁は、懲役10年(求刑懲役15年)とした一審・和歌山地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

 被告側は判決を不服として、即日上告した。

 判決によると、被告は23年4月15日、衆院和歌山1区補選の演説会場で、岸田氏らへの殺意をもって自作のパイプ爆弾を爆発させ、聴衆ら2人にけがを負わせた。

 弁護側は「傷害罪にとどまる」などと訴えていたが、高裁は一審と同様、爆発物の再現実験の結果などから「人を死傷させる可能性が高かったことは十分認識していた」と指摘。死んでもかまわないという「未必的な殺意があった」と認めた一審判決に「不合理な点はない」と判断した。

 弁護側は「殺意の有無を判断する殺人未遂罪は思想信条の自由を侵害するもので違憲」などとも主張していたが、高裁は「独自の見解で採用できない」と退けた。

 犯行の動機について、一審判決は公職選挙法が定める参院選被選挙権(30歳以上)の要件が不当だとして国家賠償請求訴訟を起こし、その経過をSNSで発信したが反響がなく「世間の注目を集めるために首相を狙った」と指摘していた。

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この記事を書いた人
花野雄太
大阪社会部兼ネットワーク報道本部
専門・関心分野
調査報道、国税