投資すべき会社は何を基準に選べばいいのか。明治大学専門職大学院の山口不二夫専任教授は「貸借対照表に記載される資産の部には、20~30ほどの勘定項目がある。この項目の『硬度』に注目するといい」という――。(第1回)

※本稿は、山口不二夫『火星の決算日はいつになる?』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

会計のプロが教える「企業の財政状態を把握する方法」

財務3表(「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」)の中でも読み方がもっとも難しいのは、貸借対照表の左側(借方)に記載される「資産の部」です。

「資産」は1年以上保持するか否かによって大きく「流動資産」と「固定資産」に分けられます。1年以上保持しないものが「流動資産」、保持するものが「固定資産」です。ただし、1年以上保持しても流動資産になる例として、製造途中のウイスキー、材木になるまで20年以上かかる林野業の立木等があります。これらは営業循環(仕入・製造・販売)の途上にあるので、棚卸資産なのです。

しかし、いきなりこの表を見ても、資産として20から30もの勘定項目とその数字が並んでいるだけなので、何をどう読めばいいのかわからないと思います。

これを読むときのコツは、勘定項目の「硬度」に注意することです。卸資産(在庫)の硬度が高い時期に決算をすると、財務諸表の信頼性が高まるのです。

硬度とは、記録された数字の確実性のことです。もう少し正確に言うと、きちんとした手続きを経ていて算出根拠が明確であるか、その確実性が硬度の差といえます。