商品開発を成功させるために重要なポイントは何か。クリエイティブディレクターの篠﨑友徳さんは「既存のモノに対する『視点』さえ変えれば、まったく新しい価値を生み出すことができる」という――。

※本稿は、篠﨑友徳『世界はコンセプトでできている』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

お好み焼き
写真=iStock.com/Kohei Shinohara
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「もし別の業界だったら?」が新しい価値を生む

自分の慣れ親しんだ業界や分野から一度離れて、他の業界や分野の成功事例や考え方を参考にすることで、慣習や常識にとらわれない新しい視点のアイデアが湧いてきます。

漫画の神様、手塚治虫は「漫画から漫画を学ぶな」という名言を残したと言われています。

これは漫画の練習をサボれという意味ではなく、一流の映画・音楽・芝居・本などの多様な芸術や知識を吸収することによって、そこから自分の世界を築けという意味です。

手塚本人も医学部を卒業して医師の免許を持っていたからこそ、リアルな医学の知識が次々と登場する大ヒット作の『ブラック・ジャック』を描くことができたのです。

たとえば、書店は本を買うところですが、本の目的買いではなく、新しいインスピレーションを求めて書店に滞在する人たちにとっては「知的な時間を過ごす場所」になっています。

そこに目をつけ、書店にカフェやギャラリーを併設した施設として2011年に開業したのが「代官山蔦屋書店」です。

代官山蔦屋書店を訪れた人は、本を購入しなくても、併設されたスターバックスでドリンクを注文して、そのまま書店内で作業したり、思い思いの時間を過ごします。

その平均滞在時間は、普通の書店の実に3~4倍とも言われ、お客様の約半数が2時間以上滞在するそうです。

「○○×カフェ」の発想を応用すると

さて、代官山蔦屋書店はこのような「書店」×「カフェ」という発想で成功を収めましたが、この視点は書店だけではなく「知的な時間を過ごせる場所」であれば、他の業界でも応用することができます。

そこで、書店以外の業界で「カフェ」との組み合わせによって、新しい価値をつくった事例を列挙してみました。

「カーディーラー」×「カフェ」
車を買うだけのディーラーではなく、車を眺めながら、来店者それぞれの上質な時間を過ごせる場所へ。
そこで過ごした体験が、来店者にとって車のブランドイメージそのものになります。

「インテリアショップ」×「カフェ」
家具や観葉植物を買うだけの店ではなく、自分らしい生活をイメージしながら、好きなように過ごせる場所へ。
来店者にとっては、購入したいと思っている家具や雑貨のある部屋でくつろぐ疑似体験ができる場所になります。

「美容室」×「カフェ」
髪を切ってもらったり、ヘアスタイルをつくってもらうだけの場所ではなく、「その前後も特別なリラックスタイムを過ごせる」場所へ。
「即来店、即退店」が当たり前の美容室で、マッサージやアロマなども含め、そこでしか味わえない新しい心地よさを体験できる「長居する空間」になると、美容室そのものが持つ価値が大きく変わってきます。

このように、他業界の成功事例から、新しい視点を考えることができます。